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翻訳の政治学 近代東アジア世界の形成と日琉関係の変容

與那覇潤【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2009/12/21
JAN 9784000247702

翻訳の政治学

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商品レビュー

3.7

3件のお客様レビュー

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2021/06/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・東アジアの外交様式:お互いの主張を翻訳しない-領土の帰属すら曖昧にし、相互の認識に違いがあってもそれを解消しようとしない(69) ・日本の国籍制度がそもそも重んじていたのは、日本内地の「家」への帰属でこそあれ、生物学出自という意味での「血」ではなかった(112) ・日本的な「家」制度が「血統を重視しない」仕組みとして(正しく)論じられていた明治初期の認識が、家族法制の整備を通じて変容していく(112) ・帝国の問題は、それが身の程知らずの翻訳をしていることにあるのではなく、常に中途半端にしか翻訳をし続けないことにある(241) ・自らの国家を何がしかの普遍的な理念によって基礎づけるというやり方について、日本人はあまりにも下手なのではないか(270)←前近代以来の日本における「普遍を語る」という伝統の欠如(271) ・同じでないものをその実践を通じて、事後遡及的に「同じだった」ことにしてしまう翻訳の力(278)

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2013/05/28

「翻訳」というキーワードを用いて、近世・近代東アジアの国際関係を描き出している。著者の用いる「翻訳」はかなり広い意味で用いられていて、むしろ「読み替え」という言葉の方がしっくりくるようにも思うが、まあ「翻訳」の方が思わせぶりで、いろいろ枝葉を広げやすい言葉なのかもしれない。そのお...

「翻訳」というキーワードを用いて、近世・近代東アジアの国際関係を描き出している。著者の用いる「翻訳」はかなり広い意味で用いられていて、むしろ「読み替え」という言葉の方がしっくりくるようにも思うが、まあ「翻訳」の方が思わせぶりで、いろいろ枝葉を広げやすい言葉なのかもしれない。そのおかげもあってか、本書のここかしこで様々なジャンルの理論を軽やかに渡り歩く知的芸当を見せている。(だからなんだか軽く薄く見える)。けれど分析の視点がはっきりしているので意外に読みやすく、東アジア世界について新しい見方を教えてもらったという感じはする。

Posted by ブクログ

2011/02/02

 序論と結論で翻訳論を政治学へと拡張する理論的な土台作り、本体では沖縄=琉球の近代史をめぐる実証的な記述で構成されている。  本書の内容を思いきり要約すれば、翻訳の概念を同一性をめぐる政治学に適用していく試みであり、翻訳は政治行為の根幹にあるとする。貨幣論においてAとBが等価で...

 序論と結論で翻訳論を政治学へと拡張する理論的な土台作り、本体では沖縄=琉球の近代史をめぐる実証的な記述で構成されている。  本書の内容を思いきり要約すれば、翻訳の概念を同一性をめぐる政治学に適用していく試みであり、翻訳は政治行為の根幹にあるとする。貨幣論においてAとBが等価であるのは、何か正当な根拠があるわけではなく、まさに両者が交換されたからにほかならないという構築主義を念頭に置きつつ、近代における翻訳的な言説の編成を検討していく。  例えば、近代以前の中華帝国の支配において日本を含む隣国との穏健な関係が、互いに宗主国だと思っているという「翻訳の欠如」によって成立していたが、近代以降は、西洋流に関係を明確にすることを求められ、いわば翻訳しなければならなくなったのだと本書は指摘する。翻訳の概念をダイナミックな政治学に適用し、歴史学に適用していく試みはスリリングだ。  こうした翻訳概念の拡張的な意味での用法は、現代のネットユーザー、とりわけツイッターユーザーには馴染みやすいだろう。ツイッターでは絶えず書き手の意図や文脈を離れた解釈=翻訳による読みが行われているし、自分のツイートがねじ曲げられて翻訳される経験も珍しくない。  本書では、開国期に来日した西洋人たちが日本人は嘘つきだと嘆いていたというエピソードも興味深かったが、著書は解釈の多元性という言葉で説明しているけれど、確かにある物事はああも言えるしこうも言えるわけで、日本人は正しい。もちろんそれでは議論も約束も成立しないわけだから困るわけなのだが、ツイッターの不毛な論争を目の当たりにする度に、「無理に翻訳しなくていいのでは……?」とも思う。  とはいえ、非近代に戻るというプランがベストなのかと言うとどうなのか。このレビューでは脱線してしまったが、実際に本書はこうした議論まで射程に入れている。理論的な面では、人文系の院生は序論と結論は必読だと思うし、広く読まれるべき本だと思う。

Posted by ブクログ

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