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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2009/09/01 |
JAN | 9784101104454 |
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二つの祖国(一)
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二つの祖国(一)
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商品レビュー
4.4
42件のお客様レビュー
日系二世として、日本人アメリカ人どちらからも阻害され、苦しみながら生き抜く賢治とその一家周りの人たちの第二次世界大戦中の物語。4部作。 他の作品に比べ、主人公の印象がいまいち薄かった。2巻に期待。
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日米開戦後、本編の主人公の邦字新聞の記者である天羽賢治はFBIに連行され、スパイ容疑で留置所へ入れられる。 そして、アリゾナ砂漠の収容所へ送られる。 砂漠の収容所から釈放され、ロスアンゼルスの家に帰ると家族は強制退去されていた。 家財道具一切を二束三文で売り、一人2つまでのスーツ...
日米開戦後、本編の主人公の邦字新聞の記者である天羽賢治はFBIに連行され、スパイ容疑で留置所へ入れられる。 そして、アリゾナ砂漠の収容所へ送られる。 砂漠の収容所から釈放され、ロスアンゼルスの家に帰ると家族は強制退去されていた。 家財道具一切を二束三文で売り、一人2つまでのスーツケースの所持を許可されて、家族が移動させられたのは、競馬場の馬小屋だった。 床にタールを撒いた、馬糞の付いた臭くて不潔な馬小屋に何千人もの日系人が、押し込められた。 一週間に1回のみ、馬小屋の馬を洗うシャワーを使用することを許された。不潔な場所で、日系人達は、家畜の牛馬の扱いだった。 しばらくして、千五百名の日系人はマンザナールの砂漠の中に建設されたバラックのマンザナー強制収容所へ入れられた。 ※以下、ウイキペディアより。 1942年2月19日にフランクリン・ルーズベルト大統領が発した大統領令9066号によって翌3月に開設された。マンザナー収容所は最大時には10,046名を収容し、収容された総数は合計で11,070名となった。 アンケートや天皇の写真を踏み絵にしたり、日系人は各個人の米国への忠誠心を試される。親兄弟妻子間で意見が別れ、家族の絆の崩壊を招いた。 同じ二世の賢治の弟の忠は、人種差別の米国に嫌気がさして、戦争前に日本へ帰属した。 かつて、日本に留学していた賢治は、祖国日本と米国人としての自分との葛藤に悩む。 戦前・戦時中と、相当な迫害を受けて来た日系人の心の有り様が、本作を読んで初めて分かった。 日系人は人種差別を受けながら、そうではない白人もいるというエピソードが救いだった。 物語は、更に続く日系人の苦難の道へ。 二巻へ、つづく。
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二つの祖国(一)〜(四) 山崎豊子を読んで 著書は、日米開戦から戦後にわたるアメリカ在住日系人の物語である。戦中、強制収容所での生活が人々を苦しめ、様々な悲劇が生まれた。 開戦前、主人公の天羽賢治は、日本人向けに発行している邦字紙「加州新報」の記者として働いていた。父の乙...
二つの祖国(一)〜(四) 山崎豊子を読んで 著書は、日米開戦から戦後にわたるアメリカ在住日系人の物語である。戦中、強制収容所での生活が人々を苦しめ、様々な悲劇が生まれた。 開戦前、主人公の天羽賢治は、日本人向けに発行している邦字紙「加州新報」の記者として働いていた。父の乙七は、クリーニング店の店主。母のテルは、父の仕事を手伝っていた。両親共に働き詰めの日々。「子供達に祖国日本の教育を受けさせたい」という思いからであった。兄弟は、日本の大学生である弟の忠。ハイスクール三年生の弟、勇。ハイスクール一年生の妹、春子。妻は、価値観の相違がある妊娠中の恵美子。 アメリカ合衆国の忠誠心テストは、家族の絆を引き裂く残酷なものであった。 下記二つの質問が最も人々を悩ませた。 No.27:あなたは命令されれば、どこであっても、米陸軍兵士として戦闘任務につくか、 No.28:あなたは合衆国に無条件の忠誠を誓い、日本の天皇、その他外国政府、組織に対する忠誠と服従を拒否するか、 弟(勇)は誰よりも素早くYes、Yesと決断し、米陸軍に志願した。賢治はYes、Noと回答するも、その実力を評価され、米軍日本語学校の教官として働く決心をする。No、Noと回答した両親は、息子達から裏切られた気持ちで一杯であった。家族はバラバラとなった。 本書で一番心を痛めたことは、決断することに伴う犠牲であった。日系人達は二つの祖国に対して、それぞれの価値観をもっていた。 賢治は、米陸軍所属の日本語学校教官の道へ進む時、両親の気持ちを深く傷つけた。語学兵になり戦線へ出る決意をした時、妻を先の見えない不安な気持ちにさせた。両親と妹を悲しませた。死と向き合う環境で、命の保証はないからだ。 終戦後、賢治は東京裁判のモニター(通訳の訂正)の任務を引き受けた。アメリカ側を援護する役割であった。米軍の一員として、忠誠心を失わず懸命に働いた。一方で日本と日本人への愛情は決して忘れなかった。しかし、結果として日本人達へ沢山の傷を負わせてしまうことになった。 人の気持ちに寄り添うことができる優しい賢治は、自分の決断により、周りの人達がどれだけ深い傷を負うことになるか、痛いほど理解していたであろう。だから、自分自身もその傷を背負いながら生きていた。その苦しさは、計り知れないものであったに違いない。 アメリカで生きていく為には、自分の信念よりアメリカに全ての忠誠心を捧げたほうが楽であろう。しかし、ほとんどの人は自分の感情を殺し、簡単に割り切ることができないと思う。賢治のように。 アメリカ在住日系人達は、戦前・戦中・戦後、残酷な差別を受け続けてきた。「戦争は差別を決定的にする最も恐ろしい凶器」であると思う。死者、負傷者だけでなく、家族や大切な人との絆が崩壊する。そういった心の傷を抱えた人々が地球上に多数いるだろう。 東京裁判の記述から、戦争の裏事情を学ぶことができた。理不尽極まりない裁判であり、強い憤りを感じた。特に下記二つの事実は許しがたいと思った。 まずは十一ヵ国の判事の判決について。7名の判事と4名の判事の間には、意見の相違があった。しかし、徹底的な議論をすることはなく、判決となった経緯。 そして原爆投下問題。日本は原爆投下の二ケ月前からソ連を通じて降伏の準備をすすめていた。それを承知で原爆を投下したこと。さらに、法廷記録から原爆投下に関する記述は全て削除されたこと。 山崎豊子の作品に向き合う情熱は、尊敬の念しかない。社会問題を徹底的に取材し、真実を迷いなくぶつけてくる。そういう作家は数少ない。「読者のバトンを繋げて行きたい」という思いから感想を書いた。 令和5年7月5日
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