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トリストラム・シャンディ(上)
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トリストラム・シャンディ(上)
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商品レビュー
3.3
6件のお客様レビュー
とんでもない本を読んでしまった。この本に費やした時間を顧みると思わず苦笑が漏れ出でる。だが一度引き込まれてしまったが最後、読者はぶつくさ言いながらも結局は中巻も読み進め、このシャンディ君の戯言に耳を傾けるのだろう。 仮に話の筋や波乱万丈の物語展開、有意義な読書体験とやらを期待す...
とんでもない本を読んでしまった。この本に費やした時間を顧みると思わず苦笑が漏れ出でる。だが一度引き込まれてしまったが最後、読者はぶつくさ言いながらも結局は中巻も読み進め、このシャンディ君の戯言に耳を傾けるのだろう。 仮に話の筋や波乱万丈の物語展開、有意義な読書体験とやらを期待するような人が本書を読むと一体どんな間抜け面をうかべることだろう?およそ人を食ったような脱線につぐ脱線、あっちへ躓いたりこっちへ倒れこんだり、そうかと思えばこちらへくるりと顔を向けてメタ的な言及をしたりと....まあ要するに自由も自由な語り口というわけだ(何だかメルヴィルの『白鯨』を思わせるようなところがある)。本書第三巻のエピグラフをみるとこんなものがある。 『余は蒙昧なる大衆の批判をおそるるものにあらず、されど小作を彼らが大目に見んことを期待すー余の意図は常に陽気より謹厳へと移り、さらに謹厳よりふたたび陽気にかえることにありしなれば(ライデンの司教 ソーズルベリのジョン)』(p292より) この言葉は簡潔に『トリストラム』という本を言い表している。もっとも一体どこに『謹厳』とかいう面構えが出で来るのかは疑問であるが。もしそんな風な箇所があるように思えたなら、一旦文字を追う目を閉じ、ついでに頭を冷やすことをおすすめする。真面目くさった文体の奥にはこの「最も坊主らしからざる人物」の薄ら笑いが透けて見える。
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たまに一文が一頁くらいある。 句読点の「。」でのみブレスする人にはジャックマイヨールなみの肺活量が求められる。
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18世紀中旬、アイルランド出身の田舎牧師が突如出版したパロディ小説。あらすじとしては紳士トリストラムの自伝的小説となるのだが、それを彼が受精される所から始めるという無茶っぷり。その後も話は進むかと思えば脱線を繰り返し、上巻の終盤、全9巻中3巻に入ってやっと誕生するという有様。他に...
18世紀中旬、アイルランド出身の田舎牧師が突如出版したパロディ小説。あらすじとしては紳士トリストラムの自伝的小説となるのだが、それを彼が受精される所から始めるという無茶っぷり。その後も話は進むかと思えば脱線を繰り返し、上巻の終盤、全9巻中3巻に入ってやっと誕生するという有様。他にも真っ黒に塗りつぶされただけの頁やポロックばりの墨流し模様の頁、3巻で突如自序が挿入されたりと突っ込み所は数知れず。これは本文にある「読書の生命、真髄は、脱線です」の言葉通り、私を語れば語る程解体されていくメタ私小説なのだろう。
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