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商品詳細
内容紹介 | 言葉の魔術師による万華鏡的文学世界。 |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2009/05/15 |
JAN | 9784003118412 |
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久生十蘭短篇選
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久生十蘭短篇選
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商品レビュー
4.3
21件のお客様レビュー
初めて読む作家。 何かで紹介されていて興味を持ったか、購入して積読になっていた。 買っておいて良かったと思う。美文である。 初出はほとんどが終戦から5〜6年のもの。 まだ戦争の傷が癒えない時期で、戦争がらみの物語も多い。死が身近である。 悲劇的な話多く、伝奇的な要素もあるが、おど...
初めて読む作家。 何かで紹介されていて興味を持ったか、購入して積読になっていた。 買っておいて良かったと思う。美文である。 初出はほとんどが終戦から5〜6年のもの。 まだ戦争の傷が癒えない時期で、戦争がらみの物語も多い。死が身近である。 悲劇的な話多く、伝奇的な要素もあるが、おどろおどろしさは感じられず、透明感がある。 描かれていることは無惨なのに、なぜか美しい。 『母子像』なども、戦時中サイパンでの日本人の悲劇はあったが、物語の中の本当の地獄はそこではないところにある。 『白雪姫』では、氷河のクレバスに落ちた女性の遺体が20年以上の歳月を経て生前のままの姿に凍り付いて出てくる。性悪な女だったが、魂は洗われ、男の胸の憎しみも長の年月に消え、浄化されたような結末だ。 ギャンブルにのめり込み、確立の研究に人生を費やす『黒い手帳』は、呆れるほどの執念に恐ろしさと同時に滑稽を感じる。 なかなかそこら辺にはない作品の数々だと思う。 先が知りたくてストーリーばかりを追ってしまったが、地の文章をもっと味わわなくてはと思った。 編者による解説は難しく、ほとんど研究者向け。 一般人としては、物語をただ味わいたい。
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久生十蘭の2冊目。1編を除いて戦後、1946年から1957年に発表されたものが収められている。1957年は十蘭が55歳で亡くなった年であり、この付近は晩年の作と言うことになる。 先に読んだ同じ岩波文庫の短編集『墓地展望亭・ハムレット』と同様に、非常に凝縮された見事な表現が目を...
久生十蘭の2冊目。1編を除いて戦後、1946年から1957年に発表されたものが収められている。1957年は十蘭が55歳で亡くなった年であり、この付近は晩年の作と言うことになる。 先に読んだ同じ岩波文庫の短編集『墓地展望亭・ハムレット』と同様に、非常に凝縮された見事な表現が目を惹くが、物語の構成も優れているし、予想外の展開になる作品も多く、やはり、一つ一つがキラキラ輝いているような粒ぞろいである。 しかし、何故か短編集として通読すると、ちょっと疲れてしまう。1編ごとに凝縮されて濃厚な上に、文学性が多岐にわたっており、多彩すぎて作家のコアな「声」が迫ってこない。技巧的で言語表現に凝りまくっている点でナボコフを想起させるが、ナボコフにあるヘンタイっぽさは皆無で、ずっと大人しくも見える。実際にこの作家は穏やかな人物だったのだろうか。 やはりなかなか正体が掴めないこの作家へ目を凝らしても、何やら霧がかかって茫漠としている。それでいて、個々の作品は非常に優れていることも確かなのだ。 さらに十蘭を少しずつ読んでみたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なんとも味わい深い短編が15篇はいっています。「黒い手帖」などはなんともサスペンスがあるし、「黄泉から」とか「春雪」などは戦争で死んでいった娘たちの話であり、いたましいが、これを美しく書いている。読み返してみたい作品である。
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