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八番筋カウンシル
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八番筋カウンシル
¥220
在庫なし
商品レビュー
3.4
58件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
商店街に戻ってきたアラサー3人の、商店街や親に振り回されたり良さを体感したりする話。 (と書くとなんて軽い話、と思うが軽くはない。でも主人公達は多分20代後半で他に良い言い回しがない。アラサーという語句は他に良いものは無いのか。) 津村さんの会社モノのやるせなさと同じ感覚もあるが、それよりももっと希望が無い印象。会社はまだビジネスというドライさがあるが、商店街(イコール近所、地元のしがらみ)や親は割り切りができないからか。私がそういう付き合いが苦手なのもあるかもしれない。 話は中学生の時と現在が混ざって進んでいく。中学生の時のモヤモヤよりは現在の方が幸せ、というかモヤモヤを晴らすための行動力があって皆なんだかんだスッキリしているようで、良かった。
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良く判らないタイトルですね。八番筋は商店街の名称、カウンシルは評議会の意。このタイトルを見ると「頑張ってる商店街」の物語を想像しますが、この評議会メンバーがグズグズで。しかも主人公達は彼等を軽蔑しつつも、自分達も結構グズグズで。。。 実は昨年末に読み始めて、あまりに低空飛行が続く...
良く判らないタイトルですね。八番筋は商店街の名称、カウンシルは評議会の意。このタイトルを見ると「頑張ってる商店街」の物語を想像しますが、この評議会メンバーがグズグズで。しかも主人公達は彼等を軽蔑しつつも、自分達も結構グズグズで。。。 実は昨年末に読み始めて、あまりに低空飛行が続く物語に一旦挫折。年明けに再読し始めました。 もともと津村さんの文体はズルズルとしたローテンション。テンションが高い方では無い私を5とすれば、3程度。しかもAを語って居たらその関連でBが、さらにCがと文章が繋がって行き、突然のように本筋のAに戻る。批判では無いのです。BやCを描くことで周辺の事情が分かるし、おそらくそんなことも意識して書いていると思います。ただ、本筋が掴みにくかったり、主語不在の文章も有って、振り回され、行方を見失う事も多い。 10数年前、評議会が一家族を商店街から追い出す原因となった友人の祖父の死に関わる謎が終盤に解明され、物語は穏やかなピークを迎えます。 スカッとした登場人物などいないのです。様々な家族の家庭崩壊や嫉妬や挫折が描かれ、そんな中で主人公達はそれを何とか乗り越えて行く、そんな姿が訥々と描かれ、読むのに苦しんだ割になかなか良い読後感です。
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タケヤスとホカリとヨシズミの三人を中心として展開される、良くも悪くも、昔ながらの商店街を取り巻きながらの人生模様は、三人とも母子家庭であることがポイントのような気もするけれど、それだけではないことは、読んでいく内に気づくと思います。 最初は、津村さんの地味ながらも、「ああ、すご...
タケヤスとホカリとヨシズミの三人を中心として展開される、良くも悪くも、昔ながらの商店街を取り巻きながらの人生模様は、三人とも母子家庭であることがポイントのような気もするけれど、それだけではないことは、読んでいく内に気づくと思います。 最初は、津村さんの地味ながらも、「ああ、すごくわかる」的な「日常オブ日常」の淡々とした素朴な物語に、少々の毒を加えたシニカルな感覚は、いつもの場所に帰ってきた安心感のようなものを感じていたが、突如、内に秘められた冷たい刃のような事情を知ることで、一気に現実に引き戻されることになる。こういう展開の仕方は本当にすごいと思うし、津村さんの書く男性って、なんでこんなにリアルなんだろうとも思います。それも決して、順風満帆ではない人や、心に痛みを抱えている人を。 表向きは何ともないように見えても、陰では大変な辛い思いをしている。人生を生きる人たちは、皆、表と裏の顔を持っているものなのかもしれない。別に悪い意味ではなくて、人間は単純ではないという意味で。 人それぞれが、それぞれの物語と問題を抱えており、それに対して、答えを出せたという感覚を自ら実感できる瞬間が、誰にも訪れるであろうという、希望のようなものを最後には実感させてくれる。 人の数だけ人生があるという言葉は、思いのほか深い。
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