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バラバ
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バラバ
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商品レビュー
3.9
9件のお客様レビュー
人を信じること、愛することとは何かわからない不器用な主人公にとって、生き残されても孤独で彷徨い続けなければならならず、もしかしたらそれは死よりも辛いことなのかもしれない。主人公にとって愛することは最後までできなかったのかなあと。あまり救いというものが見られないのは残念だった。読ん...
人を信じること、愛することとは何かわからない不器用な主人公にとって、生き残されても孤独で彷徨い続けなければならならず、もしかしたらそれは死よりも辛いことなのかもしれない。主人公にとって愛することは最後までできなかったのかなあと。あまり救いというものが見られないのは残念だった。読んでいると舞台の上で演じる役者が見えてくるような演劇的な作品だった。
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とても難しい小説です。「信ずることのできない、愛することのできない」、「ときどきのエクスタシィにしか信仰がもてない」バラバ。信仰に惹かれ続け、模索し続けながら、最後まで本当には理解できなかったのかと思います。 「細かい線まで手を入れていない」描写が非常に個性的で、まさに荒削りの石...
とても難しい小説です。「信ずることのできない、愛することのできない」、「ときどきのエクスタシィにしか信仰がもてない」バラバ。信仰に惹かれ続け、模索し続けながら、最後まで本当には理解できなかったのかと思います。 「細かい線まで手を入れていない」描写が非常に個性的で、まさに荒削りの石塊のようです。
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- ネタバレ
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ノーベル文学賞受賞作。 作中で貧しい人たちがキリストを信仰するのは、自分たちを困難な状況から救い出してくれる、都合の良い救世主を求めているだけにも見える。盲信と信仰心の区別はあいまいである。 一方、バラバはキリストに強く惹かれながらも、決して盲信しない。むしろキリストの無力さを知っており、兎唇女のために律法士を殺し、彼女を埋葬し、あくまで行動をもって示そうとする。 バラバは両親の愛を受けずに育った境遇からか、情がうすく、人に寄り添うことがない。ゆえに、周囲も無意識のうちに彼を拒絶する。しかし、兎唇女を埋葬し、サハクのために泣いたように、彼にも人間らしい情が残っている。 親近感を覚えるような主人公ではないが、彼のような人間がいても自然ではないだろうか。 キリストを信じない者にとっては、キリストに救われたことがほとんど呪いのようになるという悲劇。しかし、盲信する者たちに比べて、バラバが愚かだとは思わない。ただ、キリストを信じられなかっただけ。 もしキリストが真の神であれば、バラバが人たちから拒絶されていようと、キリスト教徒でなかろうと、彼の魂をも救うのではないか。信者だけを救うのが神とは思えないからだ。信仰とは何か、考えさせられる。 神を強く求めながらも、信じ切ることができない人間の姿は、『巫女』にも共通するテーマだと思う。 個人的には、『巫女』ほどの求引力は感じられなかったので星3つ。 ラーゲルクヴィストの作品がもっと日本で読めるようになってほしい。
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