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鳳仙花 新潮文庫

中上健次(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 1982/10/25
JAN 9784101274010

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商品レビュー

4.3

7件のお客様レビュー

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2024/02/16

中上健次の小説を読んでいる時は、熊野という土地に結びついた土俗的な生命のエネルギーに触れている感じがする。秋幸をめぐる一連の作品には、ここに長編小説を読む醍醐味がある、と思わせるものがある。

Posted by ブクログ

2020/05/13

紀州サーガ三部作に続く、秋幸の母フサの物語。時代に翻弄され運命に翻弄され龍造に翻弄され、秋幸と同じように出生と血に思い悩みながらも執念めいたものを抱えて生きる女の大河ドラマである。 『岬』や『枯木灘』で繰り返し語られる龍造とフサそして秋幸らの出来事がより説明的に語られる。ほかの...

紀州サーガ三部作に続く、秋幸の母フサの物語。時代に翻弄され運命に翻弄され龍造に翻弄され、秋幸と同じように出生と血に思い悩みながらも執念めいたものを抱えて生きる女の大河ドラマである。 『岬』や『枯木灘』で繰り返し語られる龍造とフサそして秋幸らの出来事がより説明的に語られる。ほかの中上作品と比べより物語的に感じるのは、フサの成長とともにそうした人々の愛憎が激成し合いながら業を織り成す姿にあるのかもしれない。『岬』『枯木灘』『地の果て至上の果て』を読んだあとにぜひ『鳳仙花』を読んでいただきたい。それら全ての作品が包括的に深みを増す。

Posted by ブクログ

2016/03/13

読みながら何故とは知らず津島佑子の作品群の記憶が呼び起こされた。根本的に似ても似つかない両者だが、生き死にのはざかいを取り払って見せる手前の鮮やかさが、共通してあるように思う。 生の「揺さぶらせ」の不穏なモチーフとして、水や山といったプリミティブな物体の圧力を底流させるところも、...

読みながら何故とは知らず津島佑子の作品群の記憶が呼び起こされた。根本的に似ても似つかない両者だが、生き死にのはざかいを取り払って見せる手前の鮮やかさが、共通してあるように思う。 生の「揺さぶらせ」の不穏なモチーフとして、水や山といったプリミティブな物体の圧力を底流させるところも、似ている。 本作でも、海鳴りのおどろおどろしい重低音がやむことなく響き続ける。ラストシーンの川の場面は、悪い予感が当たった眩暈を感じさせる。生の呪わしさと、死んだ者の残した体温の存在感と、命を押し流す水の無慈悲さが混淆し、よどんで溢れかえったまま小説を終える。 この大渦に呑まれるがごとき経験は「どくしょ」と済ますには控え目に過ぎる。

Posted by ブクログ

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