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渡辺一夫評論選 狂気について 他二十二篇 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 1993/10/20 |
JAN | 9784003318829 |
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渡辺一夫評論選 狂気について 他二十二篇
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商品レビュー
4
12件のお客様レビュー
渡辺一夫について知り…
渡辺一夫について知りたいと思って手に取ったのがこの本。戦後の日本で、本当の意味で「平和な世界」を本気で願った日本人、渡辺一夫に触れるにはこの一冊がお勧め。「平和のための戦争」なんて嘘だ!と心から思いました。
文庫OFF
渡辺一夫は大江健三郎の師であり、ラブレーの翻訳・研究で知られるフランス文学の泰斗である。ユマニストの立場から暴力を嫌悪し、寛容の精神を説いたが、戦後民主主義の象徴である平和主義の旗色悪い昨今、次第に顧みられることの少なくなった思想家ではある。渡辺のユマニスムは確かに「甘っちょろい...
渡辺一夫は大江健三郎の師であり、ラブレーの翻訳・研究で知られるフランス文学の泰斗である。ユマニストの立場から暴力を嫌悪し、寛容の精神を説いたが、戦後民主主義の象徴である平和主義の旗色悪い昨今、次第に顧みられることの少なくなった思想家ではある。渡辺のユマニスムは確かに「甘っちょろい」。この点から渡辺を毛嫌いする保守派知識人(例えば同じ東大名誉教授でルネサンス文学研究者の平川祐弘)は多く、彼らの批判もあながち的外れとは言えない。だが、渡辺の思想が「甘っちょろい」ことは渡辺自身が自覚していたし、社会主義陣営の崩壊という歴史的事実の高みに立って、その現実認識の甘さを断罪してみてもあまり生産的ではないだろう。 渡辺のユマニスムにはその追蹤者にはないある種の強靭さとしなやかさがある。一つには渡辺のユマニスムの「甘さ」そのもの、あるいは「甘さ」の自覚である。渡辺は王侯貴族に取り入って無心を繰り返すラブレーの「いやしさ」を肯定し、生き延びるために弟子を見捨てたエラスムスを「あまりに人間的過ぎる思想をその肉体に宿したために、その行為は非人間的になった」と擁護する。ここに戦争に徹底的に抗することができなかった戦中世代の屈折を読み取ることもできようが、自らの弱さを自覚しない偽善的ヒューマニズムだけは免れている。 今一つは、より重要な点だが、オートマティズムへの警戒である。人間が自ら生み出した思想や制度の機械になり下がることを渡辺は忌避したが、そうした忌避自体がともすれば硬直的となり、自らの反対物へと転化する危険性を渡辺は見通していた。渡辺に学んだ戦後民主主義が渡辺から学ばなかったのは、この懐疑をも懐疑する精神であり、これこそユマニスムの真髄であると思う。この点が最もよく表れて味わい深いのが「戯作者の精神」というエッセイだ。スノビズムへの風刺がもう一つのスノビズムに堕すことを戒めている。 モンテーニュを読めば分かるように(『 エセー〈3〉社会と世界 (中公クラシックス) 』)、ユマニスム自体は右でも左でもない。評者は大江健三郎の政治的主張にひとかけらも共感しないが、人間の内奥にうごめく狂気を直視し、それを鎮め、希望をつなぐために破壊と創造を繰り返す彼の文学的営為には敬意を表するし、そこに師渡辺の精神は受け継がれているように思う。本書と合わせ『 フランス・ルネサンスの人々 (岩波文庫) 』の一読を勧めたい。
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先日、約10年ぶりにウクライナの友人に会いましたが、彼がこんなことを言っていました。「どうしたらウクライナの人たちを良くできるかをずっと考えている。彼らは、話題性にばかり投票して、政治をうまく行うことができない。日本は、地方のおじいちゃんおばあちゃんがちゃんと投票に行ってくれるか...
先日、約10年ぶりにウクライナの友人に会いましたが、彼がこんなことを言っていました。「どうしたらウクライナの人たちを良くできるかをずっと考えている。彼らは、話題性にばかり投票して、政治をうまく行うことができない。日本は、地方のおじいちゃんおばあちゃんがちゃんと投票に行ってくれるから、急進的な政党が勝って戦争に進むことは無い。成熟しているんだ」 おじいちゃんちゃんおばあちゃんたちが自民党に投票するのは、世界的に見るとそういう文脈もあるのか、そんな風に考えたことは無かったと思うと同時に、であるなら、あと10年後20年後は日本も危ない、と思ってしまいました。 ウクライナ侵略の2022年に読むと、やはり、人間は歴史に学ぶことは不可能なのではないかと、暗澹たる気持ちにもなります。 (203頁のロシアに対する記述は、『白鯨』の中にアフガニスタン戦争の記述があるのと同じ衝撃) それでも、諦めずに信じて、考えることをやめてはいけないと、教えてくれる本です。 ---昔の夢は、跡形もなく消え去っている---
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