ねこを飼うことに対する倫理観のようなものがおよそ50年でがらっと変わったんだろうな。 自分には信じられないくらい無責任な飼い主としか思えず、「頼むからもうねこは飼うな！」と思いながら読んだし、ラストはこの夫婦が育児？？と震えた。

正確には読み終わっていない。20ページで挫折。 飼う覚悟も知識もないまま猫をもらい受け逃し、「猫が飼える家に引っ越しましょう！」だと？ 詩的な文章と表現で省略されている感情や状況があるのかもしれないが、保護猫を引き受けて、一日も長く健康に共に暮らしていこうと日々を送っている身としてはこれ以上読みすすめる気は起きなかった。いなくなったら新しく飼えばいいという人が現実にいるので、この夫婦もそのパターンだろう。

「ねえ、知ってた？」 ぼくの奥さんは、いつもよのうに右手の親指と人さし指をきれいな音でパチンと鳴らしてそういうと、知られざる真理を発見したもののみがおのずからそなえるきっぱりとした、しかしせきこんだ口調で、こうつけくわえました。 「ねこには未来がないのよ」 「え？　ねこがどうしたって？」 「やっぱり知らなかったのね。わたしもさっき新聞の随筆欄で読んだばかりなんだけどーー脳科学のえらい先生がこんなことを書いていたのよ。ねこには未来というものがない、なぜなら、ねこには未来を知覚する能力がないから、って」 「ねこには未来がない？」 「つまり、わたしたちが未来を感じることができるのは、このおでこの裏っ側にある前頭葉という組織のはたらきによってなんですって。ところが、ねこにはもともとこの前頭葉という組織そのものがないんですって」 『ねこに未来はない』p.116 感想はブログに書きました。 https://www.urraca.jp/archives/3565