「なぜ、あなたがリーダーなのか」という題名を見て、「リーダーになることを嫌がる部下をなだめて、リーダーに育てる」ための本だと勝手に思って買ってしまった。職業病かもしれない。　実際には、この題名は、「あなたには、リーダーの資格はあるのか」という読者への問いかけである。　本書前半では、さまざまなリーダーの形に対して、実例をあげて解説、説明を行う。また、「仕事とは、パンを買うためだけではなく、生きる意味をかみしめるためのもの」という仕事に対する著者の哲学を披露する。なかなか、骨太の主張である。　後半では、前半の解説を読み終わった読者に、「なぜ、あなたがリーダーなのか」と問いかける。７つの質問からなるリストにより、リーダーとしてのポテンシャルを突きつける。じっくりと内省しても、容易には答えられないこの質問に答えを出せる日は来るのだろうか？　それともこの答えを探し続けることが、「なぜ、あなたがリーダーなのか」に対する解なのだろうか？本書を読んだことが、新たな知見を得るためのきっかけとなるような気がする。　今、あなたが置かれている地位が、あなたをリーダーにするわけでも、リーダーにしないわけでもない。もし、あなたが知識労働者ならば、あなたの周りには、間違いなく、常にリーダーを必要とする場面、場所がある。もし、リーダーになれなければ、ネットで容易に国境を越える知識の特色によって、あなたは職を失うことになる。今や、ソフト開発だけではなく、人事も総務も海外アウトソーシングが流行である。そういう意味において、すべてのビジネスパーソンに、お勧めしたい本である。