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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 朝日新聞社 |
発売年月日 | 2007/10/30 |
JAN | 9784022615435 |
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商品レビュー
4.5
6件のお客様レビュー
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英国の外交官アーネスト・サトウが1962年に横浜に着いた。サトウの日記を読み解く形で、著者の萩原氏が当時の日本の情勢が丹念に読み解いてゆく。開港直後の横浜に築かれつつあった外国人居留地の様子、横浜と江戸との距離感、日本と英国の書簡やりとりの距離感等がリアルで、読者は幕末の横浜や江戸にタイムスリップした感を覚える。特に生麦事件の発生に対する驚きと各国領事の対応の様子は生々しい。今後の展開は史実で概略を理解しているが、サトウの日記を通じてリアルな追体験ができるとの期待は膨らむ。これはまだ全14巻の壮大な物語の第1巻に過ぎない。
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アーネスト・サトウ。幕末維新の日本語通訳としても活躍した英外交官。長らくサトウの名を佐藤と勘違いしていたが、Satowというアイルランド出身のイギリス人と知った時は驚いたものだ。そんなサトウの『一外交官の見た明治維新』は読みたいものだと思っていたが、それをも上回る日記抄があるとい...
アーネスト・サトウ。幕末維新の日本語通訳としても活躍した英外交官。長らくサトウの名を佐藤と勘違いしていたが、Satowというアイルランド出身のイギリス人と知った時は驚いたものだ。そんなサトウの『一外交官の見た明治維新』は読みたいものだと思っていたが、それをも上回る日記抄があるという。それが本書『遠い崖 アーネスト・サトウ日記抄』である。全15巻の初巻はサトウ家の生い立ちを探る作者のロンドンでの調査紀行から始まるり、日本側や書簡の相手側など関連資料にまで言及するなど丁寧な展開。サトウの在日2年間の出来事、生麦事件、薩英戦争が語られる。
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第1巻は1862年イギリス公使館の通訳生として着任直後のアーネスト・サトウが遭遇する生麦事件をめぐる国際紛争処理を、英国史料をもとに英国の視点に立って検証する。1862年〜1863年という時代を考える時、英国外相ジョン・ラッセル卿と代理公使ジョン・ニール中佐の(やりとりに5ヶ月を要する)対日政策と、それに対するフランス・アメリカの思惑も興味深い。 ナポレオン3世政権下にあるフランスは、1861年から続くメキシコ出兵に、兵力も財力も集中させたい。メキシコからさっさと手を引き、日本で幕府への干渉を行う絶好の機会を得た英国の尻馬に、何とか調子よく乗りたいところであったろう。アメリカはそのフランスによる隣国メキシコへの干渉に睨みをきかせている。同時にアメリカ国内は南北戦争の只中にあり、欧州に対して自分たちへの不干渉をとりつけるためのモンロー主義(相互不干渉主義)を日本において自ら逸脱すれば、メキシコ駐留のフランス軍によって即座に自分の首を絞めることになりかねない。生麦事件を巡る幕府への干渉には、「まざりたいけれどまざれない」臍をかむ思いがあり、英仏とは異なる役回りを窺っている。この辺りの駆け引きが、フランス公使ド・ベルクールやアメリカ公使プリュインと、ニールとの間のやり取りによく現れているように思う。 但し、本書によれば、在日公使たちよりも本国外相らはずっと冷静に事態を判断しており、ともすると在日公使たちが本国の外交方針から逸脱しかねない状況にあった。顕著であったのは、最大の当事者である英国のニール代理公使である。また、英仏両国とも本国では日本国内の内戦に介入するつもりは全くなかった。現場の公使たちの中で本件をもっとも冷静に判断し得たのが、蚊帳の外に置かれたアメリカ公使であったことは言うまでもない。 一級の外交史料に基づく幕末史の再構築であるばかりではなく、本書の主人公である通訳生時代のアーネスト・サトウと公使館付補佐官兼医官のウィリアム・ウィリスの青春物語であることが本巻の最大の魅力であろう。過去の女性問題とその事後処理という現実問題を引きずりながら、故郷に思いのかなわぬ女性を残すウィリス。希代の秀才でありながら、英国国教会信徒の家系に生まれず、エリートの王道を歩むことがかなわないサトウ。二人の英国逃避行でもある日本着任の物語として読む第1巻は、若き外交官の野心溢れる冒険心と同時に、青春物語に特有の切なさや憂いにも満ちている。
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