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プルターク英雄伝(6)
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プルターク英雄伝(6)
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本分冊には、エペイロス王ピュロス、マリウス、リュサンドロス、スッラの伝記が収録されている。ピュロスといえば、勃興期のローマに象を駆使した部隊で攻め入り苦しめた人物であり、かのハンニバルがスキピオに向かって世界第二位の名将と激賞しているが、本伝記を読むと、戦闘には強かったけれども、...
本分冊には、エペイロス王ピュロス、マリウス、リュサンドロス、スッラの伝記が収録されている。ピュロスといえば、勃興期のローマに象を駆使した部隊で攻め入り苦しめた人物であり、かのハンニバルがスキピオに向かって世界第二位の名将と激賞しているが、本伝記を読むと、戦闘には強かったけれども、占領した土地をどのように政治的に活用するか、あるいは敵とどの時点で和を結ぶかといった点については、さほど頭を回していない人物であったという印象を抱かされる。イタリアへの遠征の他にも、マケドニアとの戦争なども、どうしても決定的な勝利を得られないで終わってしまっている。その意味で、「ピュロスの勝利」は対ローマ戦に限った話ではないと思われる。リュサンドロスについては、意外にもプルタルコスの評価はそれなりに好意的である。というのも、彼はスパルタには敵国から略奪した財貨を持ち込んだが、本人はスパルタ古来の国制に従い質素な生活で満足したからである。とはいえ、アテナイに三十人独裁制を置いた点については、プルタルコスの評価も厳しい。マリウスとスッラはローマの内乱の時代の先駆けとなった人物であるが、スッラの戦争手腕についてはプルタルコスの評価は高い。また、ローマがマリウス派によって荒らされている最中にも、ミトリダテスとの戦争で妥協しなかった点も、私よりも公を優先する行いとして評価している。
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