清少納言の性格を枕草子から、筆者なりに読み解いている。 清少納言を自慢が多く、はっきりものをいい、意地悪な女子校の友達のような感覚で書いている。 個人的には桃尻語訳の清少納言をパワーアップしたような人物像を思い描き、実際にいたら、関わりたくないと思ってしまった。 学校では、清少納言は定子の晩年の暗い雰囲気を吹き飛ばすために、明るく楽しかったことをメインに書いたと学んだので、イメージとのギャップがあったからだろう。 腹話術のような想像上の清少納言と自分との会話シーンでは、悪ノリして、はしゃいでいる感じすらあり、この部分は不要に思ったが、筆者は聖地巡礼をしたりと、余程、清少納言がお気に召したのだなという印象を受けた。 別の解釈の清少納言像も読んでみたい。

中古文学の良い点は、解明できていないことが多いことから他の文学より人の感じ方が自由な気がすること。そして、それがオッケーだということ。中古文学じゃない作品もそうなのだけれど。不正解がないのが魅力だと思います。 だから、この手の本を読むと「著者は枕草子をこういう作品だと思ってるんだ。清少納言をこういう女性だと思っているんだ」と知れること。自分と異なる視点を発見することもまた楽しい。 ただ、私はちょっと読みにくかったかな。 私の清少納言像とだいぶ違うのが驚いたし、そこが面白かった。個人的に酒井さんの清少納言は、紫式部がチラつきました（笑）

「昔の人」と勝手に決めつけていた清少納言。「はいはい、ワロスワロス」で終わるかと思いきや、現代の自分にとっても通ずる考え方がたくさん詰まっていたんだなと気づかされた。「年寄りがいつまでも若々しくいようとするのはみっともない。年相応の振舞いをしなさい」とか、「いい説法も顔がイケメンじゃなきゃ台無しよ」といったようにクスリと笑えるところもある一方、「香りを焚いていい匂いのするひとはよい」というような、今のいい男にも通ずるようなところが千年前にもあったんだなぁと思うと、モノは1000年経て変化してきているが、日本人としての本質的な部分はまだまだ平安時代から変わっていない部分もたくさんあるんだなと気づかされた。急進的に考えを変えさせようとするのではなく、この本質を踏まえたうえで我々も生活をすれば無駄なコンフリクトも生まれなくていいのになぁ、と思うところはある。