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この人の閾

保坂和志(著者)

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商品詳細

内容紹介 内容:この人の閾.東京画.夏の終わりの林の中.夢のあと
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 1995/08/10
JAN 9784103982029

この人の閾

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商品レビュー

3.3

7件のお客様レビュー

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2022/09/29

 芥川賞選評も含めて「特に何も起こらない」という言葉で語られることが多いように思うが、反抗という意味ではないにしても「そうか?」と思うのは、いろいろと巻き起こっている気がするからだ。そもそも何も起こらないとは何かということを考えてみると、丁度この本に収録されている「夏の終わりの林...

 芥川賞選評も含めて「特に何も起こらない」という言葉で語られることが多いように思うが、反抗という意味ではないにしても「そうか?」と思うのは、いろいろと巻き起こっている気がするからだ。そもそも何も起こらないとは何かということを考えてみると、丁度この本に収録されている「夏の終わりの林の中」において、動物も植物も無い世界についての夢想がある。以下その箇所を引く。 "動物も植物もなくてただ海がある。風が吹いていれば波がたち、岩にぶつかる波の音もする。静かに繰り返す波の音もする。ぼくにはこっちの方が想像しやすかった。しかしひろ子の言う賑やかさとはほど遠い。小さな波が波打ち際に近いところで一つおこり、静かにひいていく。水はしばらくひいていき、やっと次の波がくる。" 動物も植物も無い世界においても、たとえばこのように現象は起こり、そのあらわれとしての音は鳴るのである。ふまえ、あらためて「この人の閾」について考えてみても、実にさまざまなことが起きている。登場人物たちは読者の印象よりも立ち現れ、去行き、場面が変遷し、時間は経過している。他人である真紀さんとぼくは言葉をかわしながら、それが単なるコミュニケーションに収束するのではなくむしろ言葉の端々から縦横無尽なイマジネーションと考察が広がっていく。  ではなぜそしてそういう小説が「何も起こらない」という印象を抱かせるのだろうか。  不思議な言い方になるが、この小説においては時間/シーン/出来事の省略が少ないからではないかとわたしは思う。 たとえば「桃太郎」を例に取れば、物語の中にある展開において桃太郎でもジジババでも家来の動物たちでもいいが、彼ら登場人物についての描写もしくは彼らの過ごす時間というものへの言及はほぼ皆無だろう。描写を極力省略し(どんぶらこどんぶらこと川を流れる桃くらいじゃないか?)、ダイジェスト的にかいつまんで話される「桃太郎」をしかし、「何も起こらない」と見做す人はいないだろう。  「この人の閾」が、保坂和志の入念な観察と描写によって極端に密度の濃いある一定の時間を描いたことで、逆説的に何も起こらないとされるのは面白い現象であるとわたしは思う。それは現実への既視感とは異なる。むしろ、わたしたちがわたしたちの目にし耳にする現実をいかに無自覚に省略し概略しているかということが、少なくともわたしが保坂和志の小説を読むときに気付かされる大きな点なのだが、どうか。

Posted by ブクログ

2019/04/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この作品芥川賞受賞作品だったのか― もちろんそんなことも知らずに手に取ったけど 本当にびっくりするほど なんてことのないことを書いています。 で、結末も特に何も起きるわけではないです。 ある種起承転結が欠如していると 言ってもいい、邪道とも取れる作品でしょう。 だからはっきりとした「何か」 を求める人には向かない作品です。 だけれども何でもないことを 読ませる力には驚かされるばかりです。

Posted by ブクログ

2014/03/17

芥川賞受賞作らしいが、本当に何も起こらない日常生活を淡々と書いており、読んでいていらいらしてくる。こちらにこうしたものを味わう余裕がないのだ、ということなのかも知れないのだけれど。それだけ「物語」を求めているということなのか。草むしりしてビール飲みました、猫が死んでました、ではは...

芥川賞受賞作らしいが、本当に何も起こらない日常生活を淡々と書いており、読んでいていらいらしてくる。こちらにこうしたものを味わう余裕がないのだ、ということなのかも知れないのだけれど。それだけ「物語」を求めているということなのか。草むしりしてビール飲みました、猫が死んでました、でははいそうですか、としか思えないのだ。

Posted by ブクログ

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