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カルヴィーノの文学講義
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カルヴィーノの文学講義
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ギリシャ神話からガリレオ、ポーやジョイス、フロベールにボルヘスまで、古今の書物を縦横に駆け巡りつつ、「新たな千年期のために」称揚し継承する文学上の「価値」、「軽さ」「速さ」「正確さ「視覚性」「多様性」について。
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カルヴィーノの詩学講義を文字起こししたもの。文学的なテーマ論なのだけど、どのジャンルにも通用して刺激的な論考。文学に限らず、芸術に何が必要かということを考えるときに参考になる。 副題は「新たな千年紀のため」と銘打っている。ミレニアムというわけですな。1000年経っても変わらない...
カルヴィーノの詩学講義を文字起こししたもの。文学的なテーマ論なのだけど、どのジャンルにも通用して刺激的な論考。文学に限らず、芸術に何が必要かということを考えるときに参考になる。 副題は「新たな千年紀のため」と銘打っている。ミレニアムというわけですな。1000年経っても変わらない普遍的な文学的価値は何かということをハーヴァード大学で講義するために、カルヴィーノは六つの価値を考えた。 すなわち 1、軽さ 2、速さ 3、正確さ 4、視覚性 5、多様性 6、一貫性(これは未講義、つまり文章は残っていない) 尺度とでも言っていいだろうか。 じゃあ、ちょっとした映画を考えるとき、そこに何が必要かをそこに当てはめてみるとおもしろい。 一番目に「軽さ」が来ていることが興味深い。 この論考は文学を題材にして実例にしてはいるけれど、つねに読み返して考察してみたい本だ。
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私には言葉というものがつねに曖昧で、出まかせに、ぞんざいに用いられているというように思われ、そのために免(ゆる)すことのできないほどの不愉快さを感じているのです。……言葉の伝染病……その徴候は識別的な機能や端的さの喪失、あるいはまた表現をおしなべてもっとも一般的な、没個性的で、抽...
私には言葉というものがつねに曖昧で、出まかせに、ぞんざいに用いられているというように思われ、そのために免(ゆる)すことのできないほどの不愉快さを感じているのです。……言葉の伝染病……その徴候は識別的な機能や端的さの喪失、あるいはまた表現をおしなべてもっとも一般的な、没個性的で、抽象的な決まり文句に均一化させてしまい、その意味を稀薄にして、語と語が新しい状況に出合うときに発する火花をいっさい消し去ってしまおうとする一種の無意識的・機械的な振舞いとして現れています。……文学が(そして恐らくは文学だけが)、言葉の病気の蔓延を阻止できる抗体を生み出すことが可能なのです。 ----------------------------------------- (イタロ・カルヴィーノ著『カルヴィーノの文学講義 新たな千年紀のための六つのメモ』「正確さ」より) 今日アマゾンから届いたこの本の帯に、上記の抜粋が書かれているのを読み、いたく心を動かされ、これは記事にしなくてはと思い、急く心を抑えながら書いています。わたしが常日頃感じていることが、そのままここに言葉となって現れていることに、あまりに驚いて。 ここしばらく、若島正氏の書評や評論を集めた本『乱視読者』シリーズを読んでいて、文学(小説)を読む歓びと、それを深く読むことの意味を、改めて考え味わっています。 生まれてきて、生きていて良かったとつくづく思うのは、こうした文学作品や評論に出会えたときです。文学は、もっともっと多くの人に読まれるべきです。(2007.2.21)
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