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日本人の歴史哲学 なぜ彼らは立ち上がったのか

岩田温(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 展転社
発売年月日 2005/11/25
JAN 9784886562760

日本人の歴史哲学

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2012/05/07

――――――――――――――――――――――――――――――○ どこに「近代」特有の不幸があったのだろうか。それは、我々の目には一見平和的に見える「生産」と「交換」それ自身に含まれていると長谷川は指摘するのである。征服者たちは、略奪と同時に新大陸の金銀を直接に採掘、採取し始めた。...

――――――――――――――――――――――――――――――○ どこに「近代」特有の不幸があったのだろうか。それは、我々の目には一見平和的に見える「生産」と「交換」それ自身に含まれていると長谷川は指摘するのである。征服者たちは、略奪と同時に新大陸の金銀を直接に採掘、採取し始めた。彼らが従来の征服者たちと異なったのは、彼らにはアメリカ大陸という空間で生き、死んでいくという感覚は無かった、ということである。すなわちヨーロッパ大陸に生きる人々が自らの空間を越えて、「生産」を行ったところに問題があるとするのである。(…)人間と大地との繋がりによってなされるのが「生産」であり、それと対をなすのが「交通」である、と長谷川は説く。さらに、この「生産」と「交通」が正面切ってぶつかりあわぬように空間の秩序、規則は成立していたと続ける。98 ――――――――――――――――――――――――――――――○ それは単に不合理なシステムであったのではない。「生産」と「交通」が結びつくことによって人間の欲望が、際限なき欲望へと変化してしまうのを防ぐためであったのではなかったか。古人は人間の欲望を、非常に恐れていたからではなかったか。(…)白人たちの訪れる前、かのポトシ銀山を発見したインカの王はこれを発掘することを放棄した。何故なら土着の坑夫たちが発掘をやめよという神の声を聞いたからである。近代に生きる我々はこれを無知な野蛮人の迷信と嘲笑する。しかし、この声の聞こえなくなった近代にこそ悲劇が待ちうけていたのではないか。神の声聞こえぬ他者が生産に関わり、自由な貿易を求めた結果こそポトシ銀山におけるインディオの悲劇であった。101 ――――――――――――――――――――――――――――――○ 小楠は世界の国々を得を有する「有道の国」と徳なき「無道の国」の二つに分類する。そしてその中で有道の国との交流のみを主張するのである。(…)開国自体を拒絶するのではなく、開国する相手を取捨選択するという考え方は、無制限な「生産」と「交易」の合致を防いできた思想とみることも可能であろう。小楠の聞き及ぶところによれば西洋とは「無道」の国であった。従ってそのような文明国とは呼べぬ野蛮な国との交際は禁ずるべきであると述べるのである。この小楠が後に攘夷論者から開国論者へと変化する。114 ――――――――――――――――――――――――――――――○ 西洋とは有得の国ではなかったのである。暴力によって交易を強制し、空間の秩序を破壊しながら他国の富を根本から収奪する彼らの姿は、まさに無道の国民の姿そのものであった。これについて実に鋭く指摘していたのが西郷隆盛であった。(…)西洋人は力を持ちながら、未開の国に対して残忍な仕方で接する。西郷は本当に「文明国」であるならば、未開の国を文明化に導くべきであるというのである。117 ――――――――――――――――――――――――――――――○ 江華島事件とは、まさしく西洋諸国が日本に向けた姿勢を、その被害者であったはずの日本が朝鮮に向けて行った事件であった。力によって開国を求める「近代的な」外交を日本が展開したことを前にして西郷は怒り悲嘆にくれたことは想像に難くない。141 ――――――――――――――――――――――――――――――○ 明治維新の目的とは無道の国から派遣された黒船を撃ち攘い、国を守ることにあったのではなかったか。ところが天子をいただく明治政府は何を為したか。彼らは自ら進んで国を西洋化し無道の国を歩むに至った。彼らは「日本の津々浦々に黒船を導き入れ、国土を売り渡そうとしている」。これを西郷が赦せるはずもなく、挙兵に至ったとする。(…)近代との対峙は、今なお為されねばならぬ対峙である。とてつもなく巨大な近代と対峙することの意義を、西郷隆盛の姿は今生きる我々に教えてくれる。152 ――――――――――――――――――――――――――――――○

Posted by ブクログ

2012/04/03

 日本人歴史家が、歴史を研究する時どういう態度で臨んで来たのか、みたいなことが書いてあるのかと期待して読んでみたのですが…違いました。  本書は歴史を創る主体としての日本人が、“歴史に名を残す”ということにどのような意味付けをしていたかについての一考察です。著者がやや右寄りの方...

 日本人歴史家が、歴史を研究する時どういう態度で臨んで来たのか、みたいなことが書いてあるのかと期待して読んでみたのですが…違いました。  本書は歴史を創る主体としての日本人が、“歴史に名を残す”ということにどのような意味付けをしていたかについての一考察です。著者がやや右寄りの方なので、日本人が読むと政治スタンスを問われているようで気楽に読めないし、思想信条が相容れない方も当然いらっしゃるだろうから評価は分かれるのではないかと思います。  が、それを差し引いても考えさせられる所がある良書だと思ったので星は4つにしました。  とてもシンプルな論の展開なので、筆者の言いたいことは容易に理解できますし、扱ってる題材が題材なので、筆者の主張を否定することが非常にためらわれます。私が十代の頃なら無批判で受け入れてしまいかねないと思います…が、筆者の現代日本に対する認識とか、論展開上の自家撞着っぽい感じとか、「本当にそうか?」と立ち止まるべき個所はあると思うので、筆者も仰っているように、日本を考え直すきっかけとしてまずは読んでみて、受け入れるか受け入れないかを考えれば良いと思います。  …ところで、筆者の運営するNPO法人というのはどういった素姓のものなんですかね?気になって噂、評判とかで検索してみたんですが、関係者の記事しか出てこないのですよね。  正しい正しくないに関わらず、この手のものに批判は付き物なので、ここまで反論が出ないというのは…この手の問題を考えている方はネット上にはほとんどいらっしゃらないということなのでしょう、何だか世知辛いですね。

Posted by ブクログ

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