1,800円以上の注文で送料無料

  • 中古
  • 書籍
  • 文庫

アメリカのデモクラシー 第一巻(下) 岩波文庫

トクヴィル(著者), 松本礼二(訳者)

お気に入りに追加 お気に入り 追加 追加する お気に入りに追加 お気に入り 追加 追加する に追加 に追加する

定価 ¥1,320

¥1,045 定価より275円(20%)おトク

獲得ポイント9P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2005/12/19
JAN 9784003400937

アメリカのデモクラシー 第一巻(下)

¥1,045

商品レビュー

4.4

9件のお客様レビュー

レビューを投稿

2023/12/29

第1巻下では本書の中心テーマである「自由」と「平等」のパラドクスが本格的に論じられる。トクヴィルは民主主義の基本的な価値観を「平等」とみる。これはフランス革命が掲げた三大理念の一つだが、「平等」の進展が社会における「自由」の基盤を侵食することへの危機感がトクヴィルに本書を書かせた...

第1巻下では本書の中心テーマである「自由」と「平等」のパラドクスが本格的に論じられる。トクヴィルは民主主義の基本的な価値観を「平等」とみる。これはフランス革命が掲げた三大理念の一つだが、「平等」の進展が社会における「自由」の基盤を侵食することへの危機感がトクヴィルに本書を書かせたと言ってよい。革命は「平等」を希求して王権を打倒したが、実は王権こそが「平等」の推進者であった。王権は中央集権化をはかる過程で、大方の貴族階級と彼らが構成する中間団体の特権を剥奪し、王権という頂点を除いて、かなり「平等」な社会を革命以前に既に実現していた。このことを看破したのがトクヴィルの今一つの名著『旧体制と大革命』である。王権に寄生しながらも王権を牽制し得る貴族階級は、「専制」に対して「自由」を守る防壁であったが、「平等」を至上価値とする民主主義は「専制」と親和性が高い。したがって、より一層の「平等」を求めて容易に「多数者の専制」に転化し得る。 多数者が優位を占める社会では個人の卓越性は顧みられず凡庸が支配的となる。誰もが他人のことを気にかけて、他人に似ることで安心を得る。知らず知らずに 「自由」は蝕まれていく。さりとてトクヴィルは「自由」を擁護するために貴族階級を復活せよと主張するのではもちろんない。彼が「自由」を守る工夫としてアメリカ社会に見たものは、行政における地方分権、既成事実や慣習を判例として重んじる法律家精神、市民に政治意識と社会に対する義務感を植え付ける陪審制などである。かつての貴族階級に代わり、こうした諸々の制度や風習が、中央集権的国家から「自由」を守る防波堤となり得ると考えたのである。 後半ではアメリカ社会におけるインディアンと黒人の地位が論じられるが、ここでも「平等」意識についての凍りつくようなリアルな観察眼に瞠目させられる。奴隷制が存続していた南部諸州のほうが白人は黒人に愛着を持ち、黒人は白人の支配を当然のこととして受け入れる。奴隷制を廃止した北部では黒人ははるかに非人間的な扱いを受け、白人を羨望の眼差しで見つめる。マイノリティーが社会の中で権利を認められるようになればなるほど、彼らへの差別は激しくなるという逆説だ。絶対的な「不平等」より中途半端な「平等」のほうが社会に深い亀裂を生むというのは、綺麗ごとでは済まない人間の悲しい性なのかも知れない。ちなみに評者が参照した英訳版(抄訳)ではこの部分はカットされている。この一事をもって断定できることでは勿論ないが、アメリカにおけるトクヴィル受容の一面性を象徴しいているようにも思われる。

Posted by ブクログ

2019/03/20

国家の成立、連邦、自治など、国の在り方とはどのようなものかについて、またいろいろと考えさせられた。 人種差別、先住民族の強制移住や文化の破壊など、現代にいたっても大きな社会的課題である事柄について、しっかりと書いているところも、時代を超えて議論ができる書物であると思う。 どの章も...

国家の成立、連邦、自治など、国の在り方とはどのようなものかについて、またいろいろと考えさせられた。 人種差別、先住民族の強制移住や文化の破壊など、現代にいたっても大きな社会的課題である事柄について、しっかりと書いているところも、時代を超えて議論ができる書物であると思う。 どの章も面白く、一度では取り込め切れないところがあり、再読したいと思う。

Posted by ブクログ

2018/10/08

金言の数々がちりばめられている。重い。またゆっくり読み直したいと思った。 上巻に続き、参考箇所。一つ一つが考えさせられる一節である。 「普通選挙こそよい政治家を選ぶ保証だと考える者が完全な幻想に囚われていることは、私にははっきり証明された。」 「二段階選挙こそ人民のあらゆる階級...

金言の数々がちりばめられている。重い。またゆっくり読み直したいと思った。 上巻に続き、参考箇所。一つ一つが考えさせられる一節である。 「普通選挙こそよい政治家を選ぶ保証だと考える者が完全な幻想に囚われていることは、私にははっきり証明された。」 「二段階選挙こそ人民のあらゆる階級に政治的自由の行使を可能にする唯一の手段だと思う」 「その本性あるいは構造が悪法の一時的弊害に耐えられるようにできている社会、法の一般的傾向の帰結が現れるまで滅びずに待っていられるような社会を想像していただきたい。民主政治はその欠陥にもかかわらず、このような社会を繁栄させるにはやはり最適の政治であることはお分かりであろう。  これこそまさに合衆国の事態である。…アメリカ人の大きな特権は、失敗してもやり直しがきくということである。」 「法律は習俗に根づかぬ限りいつも弱いものである。習俗こそ国民にあって唯一変わらぬ、持続的な力である。」 「…合衆国の民主的諸制度の存続を帰すべき原因は、環境、法律、習俗の三つである。  ヨーロッパ人の多くはこの三つの原因のうち、最初のものしか知らず、これを実際以上に重視する。」 「私はアメリカ人の実地の経験や習慣と意見、一言でいって習俗が彼らの法制の維持に果たす重要性を認識した…」

Posted by ブクログ

関連商品

最近チェックした商品