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虜人日記
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虜人日記
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商品レビュー
4.5
16件のお客様レビュー
戦争の現実を絵と文字で記録。描かれた内容は大変悲惨なものだが、記録的で客観視された中立的な短い文章なので、分かりやすいし、自分だったらと思いながら読み進めた。 1944年頃の南方の戦いは、戦うことも出来ない状況。食料や武器の補給もなく、圧倒的に戦力差がある中で、生き残るのは、運と...
戦争の現実を絵と文字で記録。描かれた内容は大変悲惨なものだが、記録的で客観視された中立的な短い文章なので、分かりやすいし、自分だったらと思いながら読み進めた。 1944年頃の南方の戦いは、戦うことも出来ない状況。食料や武器の補給もなく、圧倒的に戦力差がある中で、生き残るのは、運と体力と個人的な知識と冷静な目が必要だと思うが、そんな単純に言える事でもない。 戦争で日本が現地の人にしたこと、日本軍の体罰をするルール、情けない上役と、堂々たる人間性を持った人物、文化的嗜みを持ち続けた人、欧米人の命を大切にする考え方など、印象的な箇所がたくさんあった。 著者の中で、勝戦国は一国家的な考えじゃなく、全世界的な見方で平和を築いて欲しいと書かれていた。戦争は嫌だ。
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本作は、醸造技術をもつ企業人が軍属としてフィリピンへ派遣され、業務を行い(アルコール製造)、終戦を迎え、捕虜として過ごした筆者の、およそ二年ばかりの日記であります。 ・・・ 類似の作品に、た山本七平氏による『一下級将校の見た帝国陸軍』がありますが、本作はこれとは大きく毛色が異なります。『一下級―』が文字通りの戦中記であり、九死に一生を得るかのごとくの怨讐に満ちた筆致で生死の淵を描くのに対し、本作は後方支援部隊からの視点であり、緊張度は若干低めかもしれません。 ただし、小松氏の超然とした視点は、女遊びに現を抜かす日本軍兵、その兵士が苦しんでいるジャングル行軍に自分の女とその荷物を運ばせようとする将校、人はいるものの物資も食料もない現地の状況(ロジスティック不全)、等々を克明に捉えています。 また小松氏の描写は、現場から常に一歩引いており、時に詩歌や絵画の挿絵があり、ジャングルでの調理シーンなどはむしろユーモアすら感じぜずにはいられないものでありました。限界的状況でも文化的精神を失わない氏の人格には敬服するばかりです。それゆえか読んでいてまったく凄惨な気持ちになりませんでした。 ・・・ もう一つ驚くのは、本作が氏の死後にその家族によって私家版として出版されたことです。 つまり氏は本稿を出版することなく亡くなっているのです。あとがきで娘さんが書かれているように、まさか父が思想的にこのようなことを考えていたとは露知らなかったとのこと。それだけ本作の信ぴょう性は高まろうかとも思います。筆者は自らの記憶をとどめるためだけに書いていたということでしょう。記録とは実に大事であります。 ・・・ ということで戦記物でありました。 読んでどうなるというものではないでしょうが、やはり感じるのは、自分で考え、表現すること、の大事さであります。筆者は単なる軍属とはいえ、キチンと自身の意見をもち、時に将校にも議論をし、行動を決定していました。人の死のタイミングは多分に運命に左右されますが、それまでの人生はやはり己の掌中に持っておきたい、そう感じた読書体験でありました。
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太平洋戦争で、日本はなぜ敗れたのか。本書で説く「克己心の欠如、反省力なき事、一人よがりで同情心がない事、思想的に徹底したものがなかった事」など「敗因21カ条」は、今もなお、われわれの内部と社会に巣くう。そして、同じ過ちをくりかえしている。これらを克服しないかぎり、日本はまた必ず敗...
太平洋戦争で、日本はなぜ敗れたのか。本書で説く「克己心の欠如、反省力なき事、一人よがりで同情心がない事、思想的に徹底したものがなかった事」など「敗因21カ条」は、今もなお、われわれの内部と社会に巣くう。そして、同じ過ちをくりかえしている。これらを克服しないかぎり、日本はまた必ず敗れる。フィリピンのジャングルでの逃亡生活と抑留体験を、常に一貫した視線で、その時、その場所で、見たままのことを記し、戦友の骨壷に隠して持ち帰った一科学者の比類のない貴重な記録。ここに、戦争の真実と人間の本性の深淵を見極める。第29回毎日出版文化賞受賞の不朽の名著。 漂浪する椰子の実 密林の彷徨 虜人日記 『虜人日記』出版にあたって 小松由紀 文庫版へのあとがき 小松ヒロ 『虜人日記』のもつ意味とは 山本七平
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