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忘れられる過去

荒川洋治(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 みすず書房
発売年月日 2003/07/26
JAN 9784622070535

忘れられる過去

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商品レビュー

4.2

8件のお客様レビュー

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2019/04/24

ここに収められた随筆は、詩人で評論家でもある著が、'01年から'03年にかけて様々なメディアに発表した74篇の「本にまつわる随筆」を編んだ一冊。 単なる書評ではなく、小説や作家への考察、本のある情景や読書について、当時の世相を絡め、時に警告、時に揶揄、時に指...

ここに収められた随筆は、詩人で評論家でもある著が、'01年から'03年にかけて様々なメディアに発表した74篇の「本にまつわる随筆」を編んだ一冊。 単なる書評ではなく、小説や作家への考察、本のある情景や読書について、当時の世相を絡め、時に警告、時に揶揄、時に指針を、しなやかな文章の中にそっと潜める。 この中で、繰り返し読んだのは『文学は実学である』という随筆。 要約すると‥‥ この目で見える現実だけが現実だと思う人が 増えている。文学は空理空論と片付けられ、 経済全盛で文学は肩身が狭い。はたしてそう だろうか。現在の社会問題が人間の精神に起 因している今こそ、文学の「実」の部分を強 調すべきだ。良質な物語を知ると知らないと では、人生はまるっきり違う。読む人の現実 を、生活を、激変させる力があるのだ。文学 は現実的なものであり、強力な「実」の世界 なのだ。医学、経済、法律学…、これまで実 学と思われていたものが「怪しげ」なものに なり、人間を「狂わせる」ものになってきた ことを思えば、文学の立場は自ずと見えてく るはずだ。 といった内容。 持って回った文章ではなく、そこに俗臭さはなく、小難しい単語の乱用もない。嘆き咆哮するわけでもなく、気負いさもない。あくまでもさり気ない表現の中に、紙背に、ほとばしる思いを込める。それがこちらの心を大いに揺さぶる。 井上ひさしは、エッセイの正体とは「自慢話をひけらかすこと」だと定義した。それに倣えば「私は本をこんな風に読み、こう理解した、わかりますかな?」と書いてしまえば嫌味で鼻白んでしまう。嫌味さをいかに抜くかが随筆の巧拙を決める。 一気に読むのはもったいなく、夜更けにウイスキーを傾けながら、気長に味わうのにもってこい。「言葉の力」を再認識し、美しい日本語の世界を存分に味わえる一冊。

Posted by ブクログ

2016/05/01

収入の5%以上を本代に充てるのが、読書家の条件―。 イギリスの批評家アーノルド・ベネットの名著「文学趣味」(1909)によると、そういうことらしいです。 読書にまつわる74編のエッセーを収めた本書の中の1編「読書のようす」で紹介されています。 荒川洋治さんのファンである自分は、本...

収入の5%以上を本代に充てるのが、読書家の条件―。 イギリスの批評家アーノルド・ベネットの名著「文学趣味」(1909)によると、そういうことらしいです。 読書にまつわる74編のエッセーを収めた本書の中の1編「読書のようす」で紹介されています。 荒川洋治さんのファンである自分は、本書をもう3回くらい読んでいますが、特にこの「収入の5%」がずっと頭の隅に引っ掛かり、月末に本代を計算して首を捻るのが習い性となりました。 というのも、この水準をクリアするのは、なかなか至難だからです。 単行本か文庫本かにもよりますが、いずれにしろ10冊前後といったあたりでしょうか。 収入の少ない自分でさえ難しいのですから、収入の多い人にとって「5%」は大変だろうな、と想像して、私は「あっ」と気づきました。 これは「収入が多くなればなるほど本を読みなさい」という寓意なのではないか、と。 要するに、「経済的な水準が高ければ高いほど、知的水準も高めなければならない」ということなのでしょう。 そんなわけで、読むたびに新たな発見があるのが本書の魅力。 荒川さんは詩人だけあって、エッセーで用いられる言葉にはほんのりとした体温が感じられ、身体に染み入ってきます。 ハードカバー269ページで2600円は私には高価ですが、金額をはるかに上回る価値があります。 再読ですが、本書を含めれば、今月は「5%」に到達するかも。 なんて。

Posted by ブクログ

2014/06/13

荒川洋治のエッセイは高校生のときに読み始めて、今回で5冊目。少し値が張るからなかなか買い集めることができない。 エッセイ集「夜のある町で」の妹(もしくは弟)のようなエッセイに、ということで文学の話が多数。 わたしはいつも作者のエッセイを読むときに息をあまりしていない。というかでき...

荒川洋治のエッセイは高校生のときに読み始めて、今回で5冊目。少し値が張るからなかなか買い集めることができない。 エッセイ集「夜のある町で」の妹(もしくは弟)のようなエッセイに、ということで文学の話が多数。 わたしはいつも作者のエッセイを読むときに息をあまりしていない。というかできない。 やわらかい言葉のなかにも鋭く突いてくる。迫力があるのだと思う。 わたしは近代文学を全然読んでこなかったから、国語便覧を開きながら、作者の語る文豪たちの名前を引いていった。そういう作業も楽しい。 文学や詩の批評が多いから、「クリームドーナツ」や「メール」のような作者の生活が見えるエッセイも印象に残る。 やはり人の生活というものがすべてだと思う。作品というものはいつの世も、人の生活を見つめているものが美しいし、正しい在り方だと感じる。うまく説明はできないけれど。 文学は実学。役に立つ、立たないで価値を決めてしまってはあまりにもさみしいということを改めて教えてもらった。

Posted by ブクログ

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