高校生活を物足りなく感じ、アルバイトに精を出していた帆高は、臨時のバイトを頼まれた先で社員の寿之と出会う。 仕事の出来る寿之に憧れを抱き、他の人より少しだけ特別扱いされて嬉しいと思い始めたバイト最終日、家まで送ってもらった車の中で、当たり前のようにキスをされ―。 キスはくれるのに言葉はくれない寿之に、帆高は…!? 書き下ろし甘々温泉旅行も収録。 ---*---*---*---*---*---*---*---*---*--- B-0009/2003.4

チープシック＝チープな衣服でシックに装うスタイル、という意味らしい。 「自分以外はみんな子供みたいに見える」なんて可愛いことを考えてる高校生がちょっと狡い大人に恋しちゃうという微笑ましい話なんだけど。 昔の自分の考え方とちょっと重なってて懐かしいやら恥ずかしいやら。誰でも経験してるんじゃなかろうか。自分だけが別の世界を見てて、周囲が子供っぽく見えるあの感じ。 高校も卒業して二十歳も過ぎるとそんなことない、みんなだいたい一緒よって思うんだけど、思春期ってがむしゃらに毎日を過ごしてるから分からないんだろうな。斜に構えるのも、変に悟った振りするのも一生懸命な頃だし。 大人になりたくて、一人前に見られたくて必死だった気がする。でも、いつか必ず大人になるし、働かなきゃならない。 『チープシック』が雑誌掲載されたとき、私もちょうど高校生だった。今読むとあの頃とは違ったものも見えて来る。けど、同じ分だけ見えくなったものきっともある。寂しいけれど仕方ない。 年をとることが『成長』と呼ばれた時代に帰りたい。