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エリアーデ幻想小説全集(第1巻) 1936-1955

ミルチャ・エリアーデ(著者), 住谷春也(訳者), 直野敦(訳者)

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商品詳細

内容紹介 内容:令嬢クリスティナ 住谷春也訳. 蛇 住谷春也訳. ホーニヒベルガー博士の秘密 住谷春也訳. セランポーレの夜 直野敦訳. 大物 住谷春也訳. 弟思い 住谷春也訳. 一万二千頭の牛 直野敦訳. 大尉の娘 住谷春也訳. 「聖」の顕現としての文学 沼野充義著. 解題 住谷春也著
販売会社/発売会社 作品社
発売年月日 2003/07/14
JAN 9784878935145

エリアーデ幻想小説全集(第1巻)

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2020/03/12
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歴史を背負い、思想潮流を「幻想小説」という形に昇華させたエリアーデの著作集。 今般の洗練された(逆に言えば、グローバル規格に単一化されつつあるんだけど)娯楽作品の文体に馴れた読者には、いささか迂遠で野暮ったい風を感じるかもしれないが、文句なしの星5つである。 一番お勧めは、『ホーニヒベルガー博士の秘密』。 東洋の宗教に造詣の深い著者(マジもんの宗教学者)ならではの作品、東洋思想の内側から読むも一興。 欧州文化、思想圏では周辺に位置するルーマニアの学者が、若い頃ヨーガや東洋思想に傾倒し、なおかつ学術的に理解せんとしたことを踏まえると、味わい深い一篇である。 一見、通俗小説の体裁をとってはいるが、 「読者に疑問を持たせたまま、断定させない(解説ではこれを躊躇と言っている)」 幻想文学の白眉といえるのが、『蛇』である。 中産階級的な世俗のなかに紛れ込む、異者(はっきりしない背景なのに、魅力的な人物と描かれる)の存在。願望の混じった予知夢とも、神秘の別次元からの投影ともいえる夢の描写。 卑俗なもののなかに隠れる聖なるもの。見る者の目が開いていなければ、『それ』とは理解できない現象(作中のちょっとした事件など、夢の描写を抜きにしてみれば、浮かれた若者の暴走でしかない)。 長編『妖精たちの夜』は、非常に読みづらい(語り手がコロコロ変わる)ため挫折したが、短編ということで本書はまだ取っつきやすい。 エリアーデの宗教学、哲学の現れとして、お膳立てされた物語。あるいは、ルーマニア文化の『継承の器として書かれた物語』という軛を意識して、お読みになると良いだろう。

Posted by ブクログ

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