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アクロイドを殺したのはだれか

ピエールバイヤール(著者), 大浦康介(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房/
発売年月日 2001/09/15
JAN 9784480837110

アクロイドを殺したのはだれか

¥2,475

商品レビュー

4.3

8件のお客様レビュー

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2023/12/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アクロイド殺人事件の犯人があまり納得いかないのでこの本を手に取ってみた。 まずアクロイド殺人事件の話全体のあらすじが語られて、次にアガサ・クリスティの作品を例にとって、推理小説のセオリーの説明に入った。つまりこの本はネタバレがたくさん。 ペイトン犯人説とキャロライン犯人説のふたつがこの本ではあげられている。 恐喝の件が無かったら前者が有力だけど、シェパードが恐喝の犯人で、キャロラインが殺人の犯人という後者の説が、実際の「アクロイド殺し」の結末よりも納得できる。 最後に作者による答え合わせ(いわゆる「真実はいつも一つ」)があるのが、推理小説の良いところでも、退屈なところでもある。 この本はそんな推理小説の読みに関して、新たな可能性と提示するものだ。 もしかしたらコアな推理小説ファンにとっては、こういう読みはよくあることなのかもしれないけど、最近になってはじめて本格的な推理小説に少しずつ触れるようになった身にとっては新鮮だった。 でもこれはどんな推理小説でもできることではなく、アガサ・クリスティの作品が単なる娯楽小説としての推理小説に収まらず、文学的な価値がいくらかでもあるので可能な読みかもしれない。 「推理物語をモデルとして援用することで、フロイトは読者主体と創造的読解の可能性をなおざりにしたのである。謎についての回答はひとつしかないとされるとき、解釈者の役割は必然的に軽視される。解答は解釈者の介入に先立って存在すると考えられ、したがって解釈者にはそれを「創造する」ことではなく「見つけだす」ことが求められるからである。そこで解釈者に残されている主体としての、とりわけ言語主体としての役割は、すでに記されていることに耳を傾けることであるにすぎない。それはいまだ知られていない意味を創出することではないのである。」p.151 「妄想を特徴づける第一の要素は、「妄想が現実との間で結ぶ偽りの関係」である。もっと簡単にいえば、妄想する者はものごとをあるがままに感知しないということだ。 この現実の偽造は、どのようなかたちをとろうと、妄想体験の中心にある。フロイトが明らかにしたところによれば、精神病は妄想が顕著に表れる領域であるが、それは現実の知覚を変えようと試みる点において神経症と区別される。耐えがたい現実を前にして、精神病患者はもっと受け入れやすい新事実をもってそれに変えようとするが、神経症の患者の方はむしろそれを無意識の中に抑圧しようとするのである。」p.154 「フロイトによれば妄想は、狂気であるよりも、反対に「狂気に秩序をもたらそうとする試み」である。妄想を抱きはじめるということは、神経病理学的プロセスのうちにあっては、心的生活のもろもろの断片を別の仕方で取りまとめること、意味づけの作業に取り掛かること、したがってある意味で一種の理論化に入ることなのである。しかも妄想をこのように考えることは、それを部分的に狂気から切り離し、反対に一つの治癒の試みとして理解することにもつながる。 妄想をこうした視点からとらえるならば、つまり「意味喪失としてではなく意味づけの作業として」とらえるならば、妄想と理論は、根本的に対立するどころか、同種の思考態度に発しているということがわかる。この思考態度は、主体の原初的な問いかけの中にそのアルカイックな起源を持ち、さまざまな――また文化的に多様に評価される――心的現象を生み出すが、しかしそれらの詩的現象にはときとしていくつもの類似点が見られる。」p.174

Posted by ブクログ

2023/11/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2020.8.28読了。 図書館で借りたもの。 途中精神分析論に動いた感じがして、あれ?と思ったけど、概ねおもしろく… キャロライン犯人説、シェパードにキャロラインをかばわせた説… 個人的にはなしな説ですが(笑)、その論法はすごくいい! 読後感として、良かった1冊でした。

Posted by ブクログ

2023/06/01

アガサ・クリスティーの推理小説『アクロイド殺人事件』をピエール・バイヤールがもう一度推理し直す、、という推理小説を推理する一冊である。 実際、アクロイド殺人事件に触れるのは、本書の半分くらいだと思われるが、他の推理小説を多く引用しており、バイヤールの主張が確固たるものとなってい...

アガサ・クリスティーの推理小説『アクロイド殺人事件』をピエール・バイヤールがもう一度推理し直す、、という推理小説を推理する一冊である。 実際、アクロイド殺人事件に触れるのは、本書の半分くらいだと思われるが、他の推理小説を多く引用しており、バイヤールの主張が確固たるものとなっている。 推理小説の作者に、読者は踊らされていると言っても過言ではなく、私たち読者は上手くまるめくるめられていると気づいた。 改めて、推理小説の作者がすごいことを知るとともに、小説の不確実性を強く知ることとなった。 読後、とてつもなくミステリー、推理小説を読みたくなる。けれど、もう以前のようには単純に楽しく読めないのかもしれない、 が新たな視点を持って読めそうだ。

Posted by ブクログ

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