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英雄(上) ダニーロフ&カウリーシリーズ 新潮文庫

ブライアン・フリーマントル(著者), 松本剛史(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2001/01/01
JAN 9784102165379

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商品レビュー

4

2件のお客様レビュー

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2010/05/28

読了後「英雄」という…

読了後「英雄」という邦題が皮肉に感じられる。ロシア民警ダニーロフとFBI捜査官カウリーのシリーズ第二弾。米ロ捜査官コンビが「政治的に」解決の困難な事件を解決に導いていくのだが、この作品は圧倒的にダニーロフが主役。ちょっと拗ねたインテリ崩れというステロタイプなFBI捜査官カウリーに...

読了後「英雄」という邦題が皮肉に感じられる。ロシア民警ダニーロフとFBI捜査官カウリーのシリーズ第二弾。米ロ捜査官コンビが「政治的に」解決の困難な事件を解決に導いていくのだが、この作品は圧倒的にダニーロフが主役。ちょっと拗ねたインテリ崩れというステロタイプなFBI捜査官カウリーに対し、ダニーロフは何かにつけ「不自由な」ロシアという国家の中で賄賂と無縁であろうと孤独な闘いをする、風采の上がらない中年男。権威も脅威も自らを鼓舞しながら渦中に飛び込んで切り開いていく果敢な外面と、私生活のうろたえぶりの落差はフリ

文庫OFF

2022/12/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ロシアの民警ダニーロフとアメリカのFBI捜査官カウリーが国境を越えてコンビを組むダニーロフ&カウリーシリーズ第2弾。 不幸な事に第1弾である『猟鬼』は絶版で手に入れることが叶わず、未読。そして本書はその『猟鬼』の真相に存分に触れているというシリーズ読者には親切な作品。 ダニーロフの人物造形がまず面白い。 不当な扱いを受けながらもそれを糧に有能振りを発揮し、上司をいいようにあしらう辣腕ぶりは痛快だ。そしてそれが強固な背骨を持った、やわな虚勢でない事をロシアマフィアとの対話で知る事になる。 またストイックな性格のカウリーは心理学に基づいた尋問をしたり、FBIの最新捜査技術を駆使して、ロシア側だけなら何ヶ月もかかる捜査をあれよあれよという間に進めていく。 無骨ながらも少ない頭髪を気にしたり、友人の妻と浮気をしているロシアの警察官、酒を控え、ストイックなまでに任務を遂行するFBI捜査官。ロシア人とアメリカ人とで比べれば、大方その人物設定は逆になるであろうと思われる。これこそフリーマントルならではの味付けといったところか。 事件の真相はゴルバチョフの時代に起きたクーデターで紛失した2,000万ドルにもなる共産党資金についての争奪戦の様相を深めていく。 ロシアの大使館員とスイスの投資会社社長のパイプ、そしてマフィアネットワークの構築など、話が進めていくにつれ、事は大きくなっていく。 この辺は後に読むノンフィクション『ユーロマフィア』で培った取材に基づくところによるものだろうが、よく考えられている。何しろ破綻が無い。 かつて天敵であったロシアとアメリカがチームを組むが、やはり冷戦の頃の根は深く、お互いが大団円で利益を分け合うようにはいかない。この辺のリアルさが作者の誠実さなのだろう。 ロシアの大使館員が被害者という事で両者のうちダニーロフに関する描写・挿話の比重が高く、カウリーの印象が薄かった。前作『猟鬼』が未読なので不明だが、カウリーについては前作で語られたのかもしれない。もしそうでなければ作者はダニーロフの方が好きなのかも。 (下巻の感想に続く)

Posted by ブクログ

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