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カント全集(7)
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カント全集(7)
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1785年出版『人倫の形而上学の基礎づけ』および1788年出版『実践理性批判』、そして『実践理性批判準備原稿』が収録されている。『純粋理性批判』の「超越論的方法論」で、実践哲学の大まかな方向性が描き出されており、そこでの考えはこの2著作でも基本的には変わっていないと理解できるが、...
1785年出版『人倫の形而上学の基礎づけ』および1788年出版『実践理性批判』、そして『実践理性批判準備原稿』が収録されている。『純粋理性批判』の「超越論的方法論」で、実践哲学の大まかな方向性が描き出されており、そこでの考えはこの2著作でも基本的には変わっていないと理解できるが、「道徳」や「自律」という概念に関して縦横無尽な議論をしているのがこの2著作である。『基礎づけ』は題名の通り、「人倫の形而上学Metaphysik der Sitten」の基本原理を確定するための著作であり、カントの体系構想としては「批判哲学」とはいささか異なった領域に属する著作だろう。しかし『実践理性批判』は、理性によってのみ行為を決定することができるというテーゼを打ち出した点で、アリストテレス以来の、理性は意志に従属しているという理解を根本から転倒させた著作である。そこでは、『基礎づけ』と同様道徳が議論の中心ではあるが、「道徳の根本法則」としては、「君の意志の格率が、常に同時に普遍的立法の原理として通用することができるように行為しなさい」という自律Autonomieの原理が挙げられるのみである。こうした自律する理性として実践理性が把握されることで、それ以降のカント哲学は様々な問題(法・政治や宗教)についても、特有の理性の概念によっておおよそ一貫した解答を与ええた。したがって、『実践理性批判』こそ、カントの実践哲学の要石と意義付けるべきである。
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