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漂流思考
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漂流思考
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ベルクソン哲学を「交通論」として読み解き、それを発展させた美学思想を展開している著者が、現代芸術について考察をおこなっている本です。 著者は、ベルクソンの思想を現在・過去・未来という3つの側面から見つめることで、「感性的過剰」「痕跡的過剰」「予見不能な無の過剰」という3つの動性...
ベルクソン哲学を「交通論」として読み解き、それを発展させた美学思想を展開している著者が、現代芸術について考察をおこなっている本です。 著者は、ベルクソンの思想を現在・過去・未来という3つの側面から見つめることで、「感性的過剰」「痕跡的過剰」「予見不能な無の過剰」という3つの動性をとりだします。そのうえで、ジョン・ケージやマルセル・デュシャン、イヴ・クラインといった現代アートの旗手とされる人びとの作品について考察をおこない、芸術のなかに生きている動性を解釈しています。 さらに著者は、バルトやエーコ、リオタールやドゥルーズといった思想家たちを参照しながら、とくに芸術を演劇的にとらえつつ、既存の枠組みを超え出ていくダイナミズムが現代思想のなかでどのような仕方で論じられているのかを明らかにし、あらためて現代アートのもつ意義について考察をおこなっています。 エーコの鏡像論とバルトの写真論を対比的に論じた最終章は、かなり難解で著者の主張していることがよく理解できなかったのは残念でした。ただ、バルトが『明るい部屋』のなかで写真に刻印された「死」を弁証法的に乗り越えることは不可能であり、それに対するにはただ「愛」をもってするほかないと論じているという著者の説明は、強く印象づけられました。
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