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この人の閾
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この人の閾
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商品レビュー
3.5
29件のお客様レビュー
芥川賞受賞の短編集。…
芥川賞受賞の短編集。人間の核心をついているところが凄い!!
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閾とは、刺激の強さを連続的に変化させたときの、生体に反応をひき起こすか起こさないかの限界。生理学・心理学の用語。(webからの引用)らしい。読んだ感想とはだいぶ違います(笑) 少し時代が古いので、女性へのある種の偏見も含まれます。が、割と現代的で知的内容だとおも思います。 こ...
閾とは、刺激の強さを連続的に変化させたときの、生体に反応をひき起こすか起こさないかの限界。生理学・心理学の用語。(webからの引用)らしい。読んだ感想とはだいぶ違います(笑) 少し時代が古いので、女性へのある種の偏見も含まれます。が、割と現代的で知的内容だとおも思います。 この中で気になった点は、主婦には主婦を中心とした時間軸が無いという点。主婦は主導権を握っている様でその実、家族の予定に合わせて動いてる事がほとんどで、自分の時間はある様で無い。 昼寝する時間はあるが、それが自由時間かと言われると、ちょっと違う。相手に合わせるが故に起きる、自分で立てた予定ではない空き時間の様なもので、その間も食事の献立や明日の家族の予定などで頭は基本いっぱいなのだ。 そこをサラリとなんて事ない感じで描いてる点が面白いと思う。この淡々とした感じがないと主婦はやっていられない笑。女性は柔軟でないと辛くなるのです。
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出来事は何も起きない、淡々と風景を描写し内省的な会話がなされる、安定の保坂和志。癒されるー。普通に生きてたら死とか恋とかそれなりのドラマが展開されてしまうのが自然なので、ここまで何も起こさずに話を読ませるのって逆に不自然で、とてもすごいことだと思う。 特に印象的だったのがかつて住...
出来事は何も起きない、淡々と風景を描写し内省的な会話がなされる、安定の保坂和志。癒されるー。普通に生きてたら死とか恋とかそれなりのドラマが展開されてしまうのが自然なので、ここまで何も起こさずに話を読ませるのって逆に不自然で、とてもすごいことだと思う。 特に印象的だったのがかつて住んだ世田谷区の外れの街の話と鎌倉を歩く話。 前者はバブル末期の変化に取り残されながらも変化を強いられる街並みを主人公に据えて、ごく短い時の経過の中で失われてゆくものを描く。たまたま住んだだけで大して思い入れもない街なので、失われるのを眺めながら悲しむでもなく傷つくでもなく、街を眺める人間の方は一切変化をしないことで街の動きを際立たせる。 後者は子供時代を振り返りながら鎌倉をめぐるのだけど、ノスタルジーを拒否する徹底した姿勢が爽やか。最後にごくあっさりとした救いがあるのもよい。 一つだけ引っかかったのは、表題作で仕事人間の男性を完全に対象化していること。通勤の様子とかを述べることで彼にも生活があるんだよーみたいなエクスキューズにしているけど、この人に対してだけATフィールドが展開されてしまう。職場の嫌な奴にはメンチきったりして対等に喧嘩してるのに。仕事人間にも主体的な思考や考えはあるわけで、それを無視してしまうのは不公平にすぎる。視線の向けられ方があまりに意地悪なので、お前自身が高等遊民ぶってるから仕事人間を理解できないんじゃないの?と意地悪を言ってやりたくなる。 とはいえ心地よく耽溺できるほんとによい本でした。
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