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増山たづ子 徳山村写真全記録
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増山たづ子 徳山村写真全記録
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商品レビュー
4.8
4件のお客様レビュー
大西暢雄さんのドキュメンタリー、ホハレ峠を読んで、関連本を探していて見つけた一冊。 ホハレ峠は徳山村の門入出身のおばあちゃんを追ったもの、増山さんは徳山村の戸入出身。 徳山ダムの話が出て何十年、いよいよ村が取り壊され、着工という段になり、居ても立っても居られなくなり、それまでフイ...
大西暢雄さんのドキュメンタリー、ホハレ峠を読んで、関連本を探していて見つけた一冊。 ホハレ峠は徳山村の門入出身のおばあちゃんを追ったもの、増山さんは徳山村の戸入出身。 徳山ダムの話が出て何十年、いよいよ村が取り壊され、着工という段になり、居ても立っても居られなくなり、それまでフイルムの出し入れもわからなかった人が、カメラを手に取り、夢中で撮りためて来た写真集。 その時増山さん61歳、「もうこれらがなくなってしまうんだなぁ」と写しても写しても限りない愛着がわいてきて、アルバムは500冊にもなった。 ビルマインパール作戦で行方不明になった夫が帰ってきたときに、せめて写真だけでも残してやりたいと。 季節季節の村の行事、田畑の仕事、何気ない日常の一コマ、そこに写る人々の底抜けに明るい笑顔。 一方、爛漫の桜の下で作業をしている重機、ワイヤーをかけて引き倒される家、首の長い怪獣が大きな口を開けてまさに獲物に食らいつこうとしているかのような写真、家を壊すときにご先祖様に申し訳ないと、石碑に晒をぐるぐる巻きつけた写真など、増山さんが涙でファインダが覗けなかったとおっしゃっていた写真たちも、ちゃんと写っている。 こんな思いをして村を去らなければならなかった人たちのため、ダムの水を大切に有効に活用されることを願うばかりだ。
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すべての意味はこの一文に込められている→「フィルムの入れ方もわからん者が、ビルマのインパール作戦で不明になった夫が帰ってきた時にダムになっていたら説明の仕様もないので六十一歳ではじめてピッカリコニカを手にして撮りだしました。この人とももうこれでお別れ、この風景ともこれでお終い、と...
すべての意味はこの一文に込められている→「フィルムの入れ方もわからん者が、ビルマのインパール作戦で不明になった夫が帰ってきた時にダムになっていたら説明の仕様もないので六十一歳ではじめてピッカリコニカを手にして撮りだしました。この人とももうこれでお別れ、この風景ともこれでお終い、と思って涙で曇った眼でシャッターを押しました。」 涙で曇った眼で撮り続けた写真は、どれも笑顔ばかりで、それがまた逆に切なくなる。そこに村人は確かに生きていた。
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外から来た人には絶対に見せない表情に、こちらもつい笑顔になる。写真に映る風景が今はもうないのだと思うと切なくなるけれど。自分もいつかこういう写真を撮れるように年を重ねられるかな。
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