明石の姫君を引き取り、六条の院に女君たちを住まわせ、夕顔の忘れがたみの玉鬘の姫君を自分の娘として六条の院に迎えるというお話しの流れ。 はじめに藤壺の尼宮が亡くなって、前半はその喪の雰囲気があるなか、朝顔の姫君に言い寄っていました。寂しくて、そういうこともあるかもしれない、とはじめて少し源氏に同情しました。でもフラレた。珍しい。しかも、朝顔の姫君は失礼にならないようお返事したために、その気はないけど、源氏を振り回している感じです。すごい、朝顔の姫君。 この姫君に限らず、出てくる女君は藤壺(皇女)、葵の上(母大宮が皇女)、紫の上(父が皇子)、六条の御息所(東宮妃)と御身分が高い。源氏の身分を考えると当たり前だけど、もともと身分が高くて、ふつうなら北の方におさまる人なのに、似たような身分の人たちの中で妾にされるのは…嫌ですよね。北の方になったとしても、気が気じゃないというか。 そう考えると、明石の君はとってもそんな女君の仲間入りするのは気がひけたろう。下々から見たらいい血筋ではある。源氏とははとこだし。今の時代の感覚だと、娘を手放すなら源氏のところへ一緒に行けばいいのにと思うし、多分この物語では源氏は大事にしてくれるだろうけど、ふつうはそうならないんでしょう。というか普通は 身分違いだと恋愛にも至らないから、明石の君の例は、流された時のハプニングでレアケースなのかな？では、余計に身の置き所がなくて困っちゃいますね。そういう事情もあって可愛い姫君とお別れするシーンはほんとに、もう(泣)。しかも六条の院に行っても会えない(泣)。 面白かったのは、夕霧と雲居の雁のお話 玉鬘の上京談。あまり源氏の登場がなくて、特に夕霧と雲居の雁のところはスピンオフドラマ的な面白さがありました。今までの源氏のドラマとは違う少年少女の初々しい感じがあります。夕霧は雲居の雁が大好きで、離されたのが悲しい。それで、惟光の娘にも言い寄る。でも源氏みたいにはうまくいってない。親の教育方針に文句言ったり、認められないのを悔しがったり。源氏の年の頃より子供っぽいのか？源氏は元服した頃もう、あちこち女性を口説いてまわってた気が…。しかも、自分の世話を焼いてくれている花散里の君の容姿をいろいろ言っている。普通の思春期の若者らしい描写で、微笑ましかった。源氏とは身分や育ちが違う、そこのところの心持ちの違いがうまく描かれているなぁと。作者が若い頃を思い出しながら書いたのかなぁなどと思いました。源氏はまさに恋物語のきらきらな主人公だけど、夕霧は青春ドラマの身近な人って感じです。 改めて、登場する男の人たちを思い返してみると、けっこう個性的な人たちがいましたね。私のなかではダントツは明石の入道で、次は惟光です。紫式部は女性だから、女性の描写がいいのかなと思うけど、案外男性も個性的な面々がいて、いいですね。 女性はほぼ源氏の恋愛対象ですから、美しい描かれようですが、たまに源の内侍とか女五の宮とか、中将の君とか真面目な恋愛対象外の女性たち、玉鬘の下仕えの三条とか、すごく自分のところに引き下ろしてきた感のある女性も出てきて、なんというか本筋よりひかれてしまう時があります。末摘花とか、花散里とかも、高貴な方というより近所にいるかもしれない個性的な人とか、いいおばさんとかそんな感じでいいですね。紫式部が高貴な姫じゃなくて、受領の娘だったから、こういう人たちを観察したりお話ししたりする機会もあったから、こんなに生き生きと描けているんだろうと思いました。 玉鬘に言い寄る源氏については…もう中年なんだから、子供みたいな年の若い人を口説くのはやめておきなさい。かなりみっともないから。

光源氏の最愛の人だった藤壺が亡くなります。 そして、ついに光源氏がハーレムを作ります。 広い敷地(野球場5個分！)に、4つの季節ごとの建物を作り、それぞれに正妻やその他の女性、子供たちを住まわせて、雅な遊びに興じます。 また、光源氏の子供も登場しますが、夕霧は、子供ながら恋文を書いたりして、まさに光源氏2世です(笑)