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向う岸からの世界史
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向う岸からの世界史
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商品レビュー
4.6
5件のお客様レビュー
1848年革命を素材…
1848年革命を素材に少数民族や難民の観点から世界史を読みなおす.なんとなく阿部謹也の歴史学に通じるものがあるように感じた.阿部謹也ファンの人には特におすすめ.同じ著者の『青きドナウの乱痴気』も面白いです.
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1848年ウィーン革命は、そのスローガンは「ブルジョア的」でありながら、多くのプロレタリア・賎民の血によって書かれているという。 余りにも多くのことに無知な自分を恥じ、そして焦る。 あとがきから引用 『本書のモティーフがたんなる反西欧で、たんなる反市民社会論だ、などと即断されて...
1848年ウィーン革命は、そのスローガンは「ブルジョア的」でありながら、多くのプロレタリア・賎民の血によって書かれているという。 余りにも多くのことに無知な自分を恥じ、そして焦る。 あとがきから引用 『本書のモティーフがたんなる反西欧で、たんなる反市民社会論だ、などと即断されても困る。「向う岸からの世界史」は、依然としてわれわれにとっての世界史でもある。ただ、世界史を自覚的にとらえうる能力が向う岸だけのものだという発想こそが、せまくるしく、(中略)なお自然的制限からぬけきれず、無自覚であり、したがって人間的たりえないのではないか。それこそが普遍的精神とは縁遠い発想ではないか。普遍性とは自己を限定しうる能力のことだ、ともいえよう。他者のなかで、他者をとおして自己限定しうる能力こそが普遍性につながるのであろう。だから、普遍性は川の向う岸からもこちら側からも、どちらからもそれとしてとらえることができる。こうして普遍性は歴史のなかで限りなく重層化する。そのような普遍史の重要性をそれとして認識しうる力こそが、世界史を知的に構成しうる能力となる。』
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ぼくにとっては、ぞくぞくするような、素敵な本でした。とってもお薦めな本なのですが、一般にはちょっと取り付きにくい本かもしれません。なにしろテーマが1848年のウィーン革命というマイナーなものですから、多少の予備知識を仕込んでから読んだほうがよいでしょう。 1848年革命といえば、...
ぼくにとっては、ぞくぞくするような、素敵な本でした。とってもお薦めな本なのですが、一般にはちょっと取り付きにくい本かもしれません。なにしろテーマが1848年のウィーン革命というマイナーなものですから、多少の予備知識を仕込んでから読んだほうがよいでしょう。 1848年革命といえば、なんといってもフランスの2月革命が思い浮かびますが、この革命はドイツへさらにオーストリアとハンガリーへと飛び火して全ヨーロッパ的な広がりを見せた後、たちまち反革命勢力に制圧されてしまいました。その中でウィーン革命は一般には一挿話的に取り扱われるようなものですが、著者は、それをメイン・テーマとしてこだわり抜きます。 この本は、いくつかの雑誌に掲載された思想史および歴史学の学術論文や仮想的な対話篇、ウィーン便りから構成されていて、雑多な印象を与えますが、1848年のウィーン革命という強靭なテーマが貫いています。 そして、その中で、この革命がプロレタリア革命を内包したブルジョア革命であり、民主化が民族問題と絡まりあっていたという複雑な性格が解き明かされ、この19世紀の革命が一挙に現代性を帯びて立ち現れて来ます。その底層にある歴史家の志まで感じられる、そんな強烈な印象の残る本です。
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